2017年03月26日
CQBコース開始します

プロ用コースのSUT訓練修了者が増えてきましたので、いよいよCQBコースを追加しました。基礎レベルのSUT-CQBと、上級レベルのSUT-ACQB (Advanced CQB)になります。
CQBでは、市街地での移動要領を含む建物へのアプローチから、目標物の偵察。建物への接近と突入から、廊下の移動、部屋の掃討をカバーします。このコースの特徴としては、射撃を伴わない「動き」のみの戦術訓練として実施することも可能であることです。射撃を伴う場合はSUT-Basic修了が受講資格となりますが、射撃を伴わない場合は銃器対策隊、陸自普通科、空・海自基地警備隊などの隊員であることを受講資格として受付け可能です。また、射撃を伴わない訓練の場合は隊舎などでも実施可能となりますので、ご相談下さい。
ACQBでは、国内では殆ど教えていないと思われるフラッド(Flood)を実施すると共に、スナイパーとの連携や、ブリーチング、フラッシュ・バンについての訓練も実施します。また、このコースでは、総合演習として敵味方に分かれてForce-on-Force訓練を実施することで、戦術そのものだけでなく戦術の選択やチームワークといった側面も訓練することが出来ます。なお、ACQBは射撃を伴いますので、SUT-BasicとSUT-CQBの修了が受講資格となります。
何れのコースも、訓練場所の構造により実施の可否が左右されますので、参加をご希望の方は事前に訓練実施場所の写真等を添付のうえご相談下さい。
2017年03月15日
リーダーシップとトレーニングについて(4)

また、リーダーの立場にある人々からは時より「部下に任せても満足いくレベルの仕事が出来ないから、イザと成ったら自分が全部やる」との意見を聞きますが、これは残念ながらリーダーとして言っては欲しくない言葉です。部下の仕事内容に満足していない原因は、自分が普段彼らに対して満足いくレベルに達するまでの訓練を施していない証拠です。また、実戦で一番先にリーダーが戦闘不能にならない可能性はゼロですので、部下に対する訓練を怠るとイザという場合に部隊が機能しなくなりかねません。
要は普段からのコミュニケーションが重要となります。部下がどれだけの知識と技能を有するのかを判断出来なくては、彼らが必要とする内容とレベルの訓練を与えることが出来ません。また彼らがどれだけ的確に他の者にそれらを教授出来るかを見極めなければ、全体に均一の内容の訓練を均等に施すことが出来ません。道筋を示すにも、道筋を修正するにも、投げっ放しでは到底不可能です。普段からコミュニケーションを密にして、相手が何を必要としているのかを探り出さないことには、自分が何をすべきかを見出すことは出来ません。
リーダーは必ずしも独裁的な指導者や絶対的なカリスマである必要はありません。その代りコーディネーターとして機能するための高いコミュニケーション・スキルが必要になります。部下を訓練するためにも指導するためにも意見を聞くためにも、コミュニケーション・スキルは必須です。リーダーがその道の専門家を正しく使うことで、自ら全てを背負うよりも、より早くかつ効率的に部隊全体の能力を高めることが出来ます。更に、指導者を育成しつつ未来のリーダーを育てる事にも繋がります。ご存知のとおり部隊の財産は「人」です。人が育たねば組織は機能しません。リーダーとしての責任や役割とほぼ変わらない立場にある指導者を部下に経験させることで、トレーニングを通じてリーダーシップを育成させることが出来ます。
自分の代わりのため、部隊の将来のためにも、上司はトレーニングという機会を用いて部下にリーダーシップを訓練する機会を与えるべきです。
終わり
2017年03月05日
リーダーシップとトレーニングについて(3)

教え方で注意しなければならないことの1つが、何故間違いが起こったか(訓練生が失敗をしたか)を正しく見極めることです。例えば1つのドリルで訓練生が失敗した場合、その失敗は訓練生がそれまで教わった技術や戦術以外のことを行ったことで起こったのか、それともその失敗は教わったとおりの技術や戦術で臨んでも起こったのかを正しく見極めることが重要です。前者であれば、前回述べたように訓練生に間違いを気付かせて失敗と正解を頭と身体で処理させることが出来ます。しかし後者の場合は、それまでの訓練で演練した技術・戦術やSOPがそのドリルで付与された状況で使えないものかも知れない可能性があります。この違いを見極められないまま、失敗した訓練生を叱責するだけでは誰にとってもプラスにはならず、またインストラクターとしては完全に失格です。
加えて、最悪のケースとしては、訓練生の失敗を叱責するだけで正解を与えることはせず、「お前の頭でよく考えろ」と無責任に言い放つことです。本当に失敗をその場で治したいのであれば、正解を言わなくとも正解へと導く手助けをすべきです。答えは自分で考えさせても、ヒントは惜しみなく出すのがインストラクターの役目です。正解はその場でなくとも良いですが、訓練が終わるまでには辿り着かせるべきです。何故なら、与えられた訓練時間の直後にそれと同じ状況で実力行使をする場面に直面する可能性があるからです。
「反省させて後日答えに辿り着けばよい」と思っている指導者は、訓練を単なるイベントや通過儀礼としてしか認識していません。訓練はそもそも何のためにするのかさえ分かっていないでしょう。彼らが年間に定められた時間数だけこなしていればよい、と思っているだけの悲しい結果です。訓練はやることに意義があるのではありません。訓練は、そこで学び身に付けた技術や戦術を持ってして、実戦で生き抜くために行うものです。インストラクターは訓練生の命を預かっているとの認識が必要であり、そういった面から見ればリーダーと同等の責任感がない者には役目は務まりません。逆に言えば、インストラクターをさせることで、自ずとリーダーとして必要な責任感を植え付けることが出来ます。
まあ、先程の「お前の頭でよく考えろ」と偉そうに言いながらヒントすら与えない連中は、初めから答えなど持っていません。自分達も答えを知らないから、それを突っ込まれたくないがために逃げているだけです。その様な連中には責任感はなく、リーダーとしての素質や素養はありませんので、インストラクターは辞めさせるべきです。
(4)に続く