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Posted by ミリタリーブログ at

2019年08月18日

射撃姿勢について(3)

 前回の上の写真の様な構え方が何故NGなのか?それは、重心の落とし方が問題だからです。重心を落とした構え方が勧められる理由の1つとしては、反動抑制(リコイル・コントロール)が挙げられます。特に小銃などの連射時において、射撃時の反動によって肩が後ろへ持っていかれないようにするために、重心が高くなる真直ぐ立った姿勢よりも重心を低くした前屈みの姿勢の方が身体が安定する、と言うのが一般的な理由です。


 重心を落として前屈みになる構え方の典型的な例を横から見るとこの様になりますが、実際のところは反動抑制に必要なのは上半身による体重のかけ方であって、膝を曲げて腰を落とすことは反動抑制に役に立ちません。むしろ、この写真の構え方は速射には向きません。この写真の様な構え方で速射すると、身体が後ろに押され易くなるだけです。


 更に、重心を落として前屈みになる構え方では、腰回りの動きが窮屈となることから、移動間射撃の際の機動力が極端に低下します。移動間射撃の1番の目的は移動することであり、射撃は2番目です。もし射撃が1番であればその場から移動せずに停止間射撃を続ければ良いはずです。移動間射撃をする状況とは、移動せざるを得ない状況であることを認識する必要があります。そして、単に移動するだけでは身を守れない、或は攻撃力とならないことから、移動しながら射撃をする、それが移動間射撃です。また、この様な重心を落とした前屈みの姿勢では腰回りの動きを窮屈なものにしてしまうことから、左右の脅威に素早く対処することが難しくなります。

 加えて言うなら、大抵の人が通常の移動に比べて移動間射撃時の方が速度が遅くなります。これは命中精度を維持するために身体が激しく揺れることを抑えようとすることで、必然的に身体のブレが少なくなるように遅い速度で移動してしまうからです。こうなると、命中精度はそこそこのものを維持できるかも知れませんが、一番必要である機動力が疎かになってしまい、移動間射撃の本来の目的が果たせなくなってしまいます。

(4)へ続く
  

Posted by Shadow Warriors Training at 21:41小ネタ

2019年08月04日

射撃姿勢について(2)


 では戦闘射撃に向いている姿勢とはどのような姿勢なのか?おそらく大半の方がこの写真の様な構え方を想像するでしょう。そして、既に実践されているでしょう。80年代までは全盛期であったウィーバーではなく、胸部を標的に正対させたアイソセレスで上半身を固め、下半身は肩幅よりも若干広めに脚を広げると共に、膝を軽く曲げて重心を下げる。海外のタクティカル・トレーニングの写真でも良く見る構え方です。


 更に拳銃の場合は、両肩の間に落とし込むかのように首をすくめることで首・肩を固定し、銃の反動に負けないようにする。これも海外の訓練風景で良く見る構え方です。

 ぶっちゃけ言います。どちらも実践的ではありません。上の写真の構え方は、検定射撃における頭から踵までが一直線上に並んでいる立姿勢よりはアグレッシブです。しかし、戦闘射撃ではなく、競技射撃に向いた構え方に過ぎません。下の写真も同様です。競技射撃には向いていますが、戦闘射撃には向いていません。

 下の写真から解説します。拳銃射撃において反動のコントロールに最も重要な要素はグリッピング、そう、握りです。拳銃は手で握ります。手首から先の力で拳銃を握り、その握りの強さで反動をコントロールするものです。拳銃は肘や肩で構えるものではありません。下の写真の様に肩をすくめたり、また腕を真直ぐ伸ばして肘を意識して固定したりすると、人間の意識は肩や肘に集中します。すると筋肉も意識した部分しか力が入らず、結果として手首から先の力(握力)が疎かになります。握力が弱くなると、射撃時の反動で銃が手の中で遊ぶことになり、コントロールが出来なくなることから命中率も下がます。また、手の中で遊ぶ銃を撃発の度に正しく握り直す必要が生じるので、連射速度も下がります。

 拳銃射撃において肘は伸ばし切る必要はありません。ぶっちゃけ、延ばさなくても撃てますし、当たります。もし腕・肘を延ばさずに撃つことがNGと言う人がいるのなら、映画「ジョン・ウィック」のCARの撃ち方は許せない、とキアヌ・リーブスに文句言ってあげて下さい。
(3)へ続く
  

Posted by Shadow Warriors Training at 22:39小ネタ