スポンサーサイト


上記の広告は1ヶ月以上記事の更新がないブログに表示されます。
新しい記事を書くことで、こちらの広告の表示を消すことができます。  
Posted by ミリタリーブログ at

2021年04月18日

ルームサーチ/ルームクリアリングについて(4)


 原則4:射撃出来る速さで以上の速度で動かない。
 ここで言う射撃とは単に引き金を引いて銃を撃発させることではなく、発射した弾を狙った脅威に命中させることを言います。では命中出来る速さとは?答えは脚の動きの速さでもなく、引き金を引く指の速さでもありません。

 仮に射撃技術の基礎が出来ているとして、引き金を引いた際に発射された弾が照準を定めた標的に確実に命中するとします。銃を撃つ際には単に脅威に銃口を向けて引き金を引くのではなく、照準を定める必要があります。銃口を向けて照準を定める前の段階として、敵か味方かの識別が一番初めに必要となります。そして、脅威であると判断した場合はその次の段階として脅威レベルの判定が必要になります。脅威レベルの判定とは、相手が武器を携帯しているか否か?、携帯しているのであればそれがどの様な武器か(離れた位置からでもこちらに危険が及ぶタイプの武器か)?、その脅威が自分に向けられているのか誰か他の者(味方、人質など)に向けられているのか?などの情勢判断です。つまり、動きの中で様々なものを見た中で、撃つべき脅威を選別してその脅威の然るべき箇所に照準を定めて引き金を引くことが求められます。従って、命中出来る速さとは、己の目で様々なものを認識・識別出来る速さになります。

 フラッド戦術では射撃出来る速さ(ものを認識・識別出来る速さ)の限界をしばしば超えた速度で動くことがありますが、あれは逆に脅威から自身を命中し難くするための措置であり、攻撃的な射撃をする際には必要に応じて減速します。攻撃的な射撃?と首をかしげる方もいるかと思いますが、フラッド戦術では減速せずに行う防御的な射撃もありますので区別して書いています。


 原則5:地形・地物を最大限利用する。
 例えば味方が部屋に突入し引き続き室内を検索している間、残りの仲間は何をしていますか?勿論、仲間が出てくるまでの間、廊下の両方向を警戒する任務に就いているはずですが(全周警戒の維持)、問題は彼(彼ら)が何処にいるのかです。廊下に残ったままでいる様であれば敵が現れた際に全身をさらけ出した状態で交戦することになります。自分が小さな標的を当て難いのと同じで、敵もこちらの標的面積が小さいと当て難くなります。従って、味方がエントリーして一定の安全性が確保された部屋に自分も入ってドアフレーム越しに廊下の先を警戒することで、万が一廊下の奥に敵が現れたとしても敵がこちらに気付く前に敵の姿を認識出来る様になります。

 また、チームの人数に余裕がある場合でも1つの集団として固まっているよりも、複数の組に分かれて互いに見える位置から掩護し合う(オーバーウォッチ)方が全体の生存率を高めることに繋がります。部屋の外からクリアする際に戸口に張り付いた状態からカットパイを行うよりも、地形が許すならばより戸口から離れた位置からカットパイすることで万が一室内に潜んでいる敵にこちらの足音などを聞こえ難くすることが出来ます。

(5)へ続く
  

Posted by Shadow Warriors Training at 16:59小ネタ

2021年04月04日

ルームサーチ/ルームクリアリングについて(3)


 原則2:全周警戒の維持。
 言わずと知れたことですが、市街地戦や屋内戦では極めて近い距離にて接敵することになります。野戦ではFEBAは数100m先の地形かも知れませんが、市街地戦や屋内戦では数m先の交差点や廊下がFEBAと成り得ます。従って、応戦へのリアクションタイムを極限まで短くするには、必然的に高いレベルの警戒態勢を常に維持しておく必要があります。

 2人しかいない場合は背中合わせに配置してそれぞれが180度以上のエリアをカバーします。180度以下では間隙が出来ますし、180度ピッタリではちょうど中間に存在する脅威に対する責任分担が曖昧になります。よって、オーバーラップは必ず必要であり、オーバーラップした部分にある脅威へは気付いた者が積極的に対応し、掩護の要請があるまではもう一人は即座に逆方向を警戒します。3人以上でも要領は同じで、接敵方向を基準としてフレキシブルに隊形を変えて次の脅威へと対応します。

 互いを信じて互いを掩護することが全周警戒のバックボーンです。これとは逆に、仮に4人組のチームがいたとして4人が同じ方向を見ていては何の意味もありません。4人全員が背後から殺されるだけです。


 原則3:火力優勢の維持。
 味方の生存率を高めるには脅威を速やかに排除する必要があります。よって、脅威への対応は1丁の銃よりも2丁、2丁よりも3丁の銃で対応することが求められます。しかしながら先に挙げた例の様に、全員が一度に同じ方向に射撃することは部隊の背後の警戒が皆無となります。つまり、2人組は最低限の編成であるものの火力優勢と全周警戒の双方を同時に確立することが困難であることが分かると思います。従って、少なくとも3人組、理想を言えば4人組が市街地戦や屋内戦におけるセルの最低限の編成単位になります。

 人数に余裕がある場合においては脅威への対応の初期段階では2丁以上の銃で対応しますが、状況がコントロール出来次第、速やかに全周警戒態勢へと移行します。敵もアホではありません。複数いれば別方向から攻撃してきます。よって、火力優勢の維持から全周警戒の維持への切り替えのタイミングを怠ると残存する敵に殺されることになりますので、強いリーダーシップを発揮して一点集中から全周警戒へと隊員の目だけでなく気持ちを切り替えさせる必要があります。

 ただし、2人組では攻撃と警戒の両立が困難であると述べましたが、ツーマンセルが完全に否定される訳ではありません。フラッド戦術で用いられるツーマンセルはSpeedとSurpriseの要素が高いことと、接敵時に即座に別のツーマンセルが掩護出来る体制であればViolence of Actionの要素も高くなりますので、有効な編成となります。

(4)へ続く
  

Posted by Shadow Warriors Training at 22:54小ネタ