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Posted by ミリタリーブログ at

2014年11月24日

テロ対策(5)


 ではテロは防げないのか?ある研究によれば90%以上の確率で実行されるとのこと。この「実行」とは本来テロリストが描いていた「成功」には至らないものの、何らかの損害を与えたケースも含みます。敵はある一点の攻撃方法に絞ってきますが、防御するこちらはありとあらゆるケースを想定して全てに対応し得る態勢を取らなければならないことから、どうしても不利です。

 しかしテロリストは衝動的に犯行に至る者たちとは異なり、狙いを絞って周到に準備を行った上で実行に移ります。そのパターンはある程度決まっており、
  1)標的の選定
  2)標的の監視
  3)最終的な標的の選定
  4)計画立案
  5)標的に対する監視
  6)浸透・展開
  7)実行
の7段階が存在します。各段階の詳細については今後行うテロ対策コースにて説明しますのでここでは割愛しますが、過去のテロ攻撃はこの段階を得て実行されます。

 となれば、第7段階に至る前に兆候を掴めば事前に対処出来ることになります。問題は如何にして兆候を掴むかですが、何も考えずに警備についていたり警らしていては、見るべきとこを見逃してしまうだけになります。また、施設や特定の人物に対する攻撃を計画している場合は、その計画を立て難くする措置を取ることが可能です。これらの対策がいわゆるAnti-Terrorism(対テロ)やCounter-Surveillance(対監視)と呼ばれるのですが、それらの要領は不特定多数が閲覧している当ブログでは伏せさせて頂きます。  

Posted by Shadow Warriors Training at 00:18小ネタ

2014年11月16日

テロ対策(4)


 テロ攻撃のパターンの中でも海外で頻繁に用いられるのが爆発物による攻撃です。小型であれば移動や設置が容易であり、大型であれば破壊力が高くなります。国内の極左暴力集団が過去に用いた有名な装置としては飛翔弾と圧力釜爆弾がありますが、後者はボストン・マラソンでも小型のものが鞄の中に隠された状態で群集の中に設置されました。

 その様な軍用でない手製の爆発物を即席爆弾(IED・Improvised Explosive Device)と総称しますが、IEDはとある場所に設置されるだけに限りません。車両爆弾(VBIED・Vehicle Borne IED)やトラップ型(VOIED・Victim Operated IED)を始め、携帯品に紛れ込ませたり自身の身体に括り付けるなどした自爆型もあります。オリンピックを例に挙げると、会場内での競技に関しては入場者に対するセキュリティーチェックを怠らなければ武器や爆発物の類を持ち込まれる危険度は下げれます(*注意:危険度がなくなるとは地球が反対に回ろうが言えません)が、問題はマラソンなどの会場外での競技です。


 国内に爆発物を持ち込むのも国内で製造するのも、海外のケースに比べると難しいですので、比較的脅威度は低いと判断されるでしょう。しかし、車そのもので選手や観客に突っ込まれたら?勿論コースの周辺は車両進入禁止措置を取っていますが、該当地域の生活や商業を妨げる事にもなりますので完全封鎖とはいきません。となれば敵はそこを突いてきます。

 競技期間中は全国から応援が駆けつけますが、警察官だけでは到底人員が足りません。足りない箇所は民間の警備員が配置されます。しかし、法律によって武装が許されず、通行規制などの強制力すら発揮できない民間警備機関は敵のねらい目となり得ます。突破されたしまったとして、駆けつけた警察官は暴走車両を止めるための究極の行動に移れるのでしょうか?それとも訴追などを恐れて銃を取り出すことすら躊躇うでしょうか?

 「テロ」という特殊なケースに対しては、一般の犯罪に対処するのと同様の心構えでは対応しかねます。引き金を引くと誰かが傷つき、場合によっては死亡します。しかし、それを躊躇うと無関係な大勢の人間が傷つくか亡くなります。従って、テロ対策を語る上では装備や技術よりも先に「闘うためのマインドセット」が重要なファクターとなります。

(5)へ続く
  

Posted by Shadow Warriors Training at 00:40小ネタ

2014年11月09日

テロ対策(3)


 では想定し得るテロリストの一般的な攻撃パターンを検証しましょう。
 
 1)狙撃
 都市部は潜む場所が無限にあることから、可能性のあるFFP(狙撃地点)を虱潰しに調べることはほぼ不可能です。また命中・非命中に関わらず、1発でも発射されると警備側にとって「失敗」となります。

 2)直接照準射撃による攻撃
 小火器(拳銃や自動小銃など)やRPGなどを使用した攻撃です。これらは遠距離からターゲットに対し発射することが出来ないので、使用にあってはある程度ターゲットに近づく必要があります。よって、駐車車両の撤去を始め、不審な動きをする全ての車両をターゲットに近づけさせない必要があります。ただし、移動するターゲットに対する待ち伏せも考慮する必要があることから、ターゲットと成り得る人物の移動を如何に抑制あるいは隠蔽出来るかが鍵となります。

 3)間接照準射撃による攻撃
 迫撃砲や国内の過激派が用いる飛翔弾などによる攻撃・示威行為です。時限発射装置を用いる事が可能であり、広大なエリアを「消毒」するのはほぼ不可能です。狙撃と同じくたった1発の発射で警備側の面子は潰れます。

 4)誘拐・暗殺
 ミュンヘン・オリンピックは過去の話と割り切るのは誤りです。世界情勢は当時よりもっと複雑で過敏になっているだけでなく、テロリストのやり方は過激さと残忍さを増しています。ターゲットを如何に露出させないかが鍵となります。

 ここまでは大抵の場合においてテロリスト側にとって特定のターゲットが存在します。勿論、1)~3)は無差別的に実施する事も想定出来ますが、それではテロリスト側にとっての「達成度」はあまり高くはなりません。連中は世界にメッセージを伝えるだけでなく理解者の獲得も目的としています。よって、無差別攻撃は理解者の獲得に不利であることから、民衆を恐怖で支配することが目的でない限り、連中にとってもリスクが高いものとなります。

 しかしその様なリスクを考慮しない組織や、政治的・宗教的背景を持っていない個人などは無差別攻撃を好みます。そしてその様な連中の用いる最も単純かつ「効果」の高い手段が
 5)爆破テロです。
 ボストン・マラソンが最たる例です。例え殺傷能力が低くとも民衆に恐怖を与えることが出来ます。警備の面子を潰すだけでなく、国家の信頼度をも失墜させかねません。

 銃器や爆発物による攻撃は遠い国の話と切り捨てることは出来ません。水際対策をすり抜けて国内に非合法に持ち込まれた銃器の数は未知数です。爆弾も市販の化学肥料などから生成可能です。国内の組織犯罪が自動小銃や手榴弾を持っていたニュースは氷山の一角です。一般人が銃器と弾薬を非合法に所持していた事案もあります。資金が豊富なテロ組織が、武器は持っているが資金に飢えた組織犯罪と接触しない保障はありません。

 これに対応するのが各都道府県警察です。組織犯罪対策課や公安が行っている活動が大きな視点から見ればテロ対策になっている訳です。

(4)に続く
  

Posted by Shadow Warriors Training at 17:23小ネタ

2014年11月02日

テロ対策(2)


 ではアクティブ・シューター事件と違い、テロ攻撃はどの様な特徴があるのか。例として挙げれば、
① テロリストは重度に武装している
② 防弾装備を装備している場合がある
③ 爆発物が多用される
④ 綿密な計画と訓練を経て実行される
⑤ 綿密にターゲットを絞っている
⑥ 犯罪者としては無く「兵士」に近い戦闘能力を有する
⑦ 人口密集地にて警備部隊と交戦する戦術を望む

 そして警備部隊側の課題としては、
① 敵が犯罪者であろうが武装テロであろうが、現行の法規に基づいて対処する必要がある
② 部隊間の連携、組織間の連絡が試される
③ 現場の安全確保に時間を要するため、救急隊の投入が遅れる
④ 救急隊が投入されるまでに負傷者の命を繋ぎ止めるための医療キットや訓練が不十分である
⑤ 複数の場所において同時多発的に発生する事案への対応が求められる
⑥ 時間をかけた犯人制圧よりも、短時間での無力化が求められる

 この様に、本格的なテロ攻撃に対しては従来の警備態勢とは異なり、状況に応じて軍事的な対処が必要となります。勿論、その様な行動は突然出来るものではありませんので、普段から歩兵的な戦術を訓練しておく必要があります。

(3)へ続く
  

Posted by Shadow Warriors Training at 18:09小ネタ