2014年11月09日

テロ対策(3)

テロ対策(3)
 では想定し得るテロリストの一般的な攻撃パターンを検証しましょう。
 
 1)狙撃
 都市部は潜む場所が無限にあることから、可能性のあるFFP(狙撃地点)を虱潰しに調べることはほぼ不可能です。また命中・非命中に関わらず、1発でも発射されると警備側にとって「失敗」となります。

 2)直接照準射撃による攻撃
 小火器(拳銃や自動小銃など)やRPGなどを使用した攻撃です。これらは遠距離からターゲットに対し発射することが出来ないので、使用にあってはある程度ターゲットに近づく必要があります。よって、駐車車両の撤去を始め、不審な動きをする全ての車両をターゲットに近づけさせない必要があります。ただし、移動するターゲットに対する待ち伏せも考慮する必要があることから、ターゲットと成り得る人物の移動を如何に抑制あるいは隠蔽出来るかが鍵となります。

 3)間接照準射撃による攻撃
 迫撃砲や国内の過激派が用いる飛翔弾などによる攻撃・示威行為です。時限発射装置を用いる事が可能であり、広大なエリアを「消毒」するのはほぼ不可能です。狙撃と同じくたった1発の発射で警備側の面子は潰れます。

 4)誘拐・暗殺
 ミュンヘン・オリンピックは過去の話と割り切るのは誤りです。世界情勢は当時よりもっと複雑で過敏になっているだけでなく、テロリストのやり方は過激さと残忍さを増しています。ターゲットを如何に露出させないかが鍵となります。

 ここまでは大抵の場合においてテロリスト側にとって特定のターゲットが存在します。勿論、1)~3)は無差別的に実施する事も想定出来ますが、それではテロリスト側にとっての「達成度」はあまり高くはなりません。連中は世界にメッセージを伝えるだけでなく理解者の獲得も目的としています。よって、無差別攻撃は理解者の獲得に不利であることから、民衆を恐怖で支配することが目的でない限り、連中にとってもリスクが高いものとなります。

 しかしその様なリスクを考慮しない組織や、政治的・宗教的背景を持っていない個人などは無差別攻撃を好みます。そしてその様な連中の用いる最も単純かつ「効果」の高い手段が
 5)爆破テロです。
 ボストン・マラソンが最たる例です。例え殺傷能力が低くとも民衆に恐怖を与えることが出来ます。警備の面子を潰すだけでなく、国家の信頼度をも失墜させかねません。

 銃器や爆発物による攻撃は遠い国の話と切り捨てることは出来ません。水際対策をすり抜けて国内に非合法に持ち込まれた銃器の数は未知数です。爆弾も市販の化学肥料などから生成可能です。国内の組織犯罪が自動小銃や手榴弾を持っていたニュースは氷山の一角です。一般人が銃器と弾薬を非合法に所持していた事案もあります。資金が豊富なテロ組織が、武器は持っているが資金に飢えた組織犯罪と接触しない保障はありません。

 これに対応するのが各都道府県警察です。組織犯罪対策課や公安が行っている活動が大きな視点から見ればテロ対策になっている訳です。

(4)に続く



Posted by Shadow Warriors Training at 17:23 │小ネタ