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Posted by ミリタリーブログ at

2019年09月30日

SWTからのお知らせ(拠点移動、コース改編、出張費改定について)


 SWTよりお知らせします。

 この度、諸般の事情で、本拠地を首都圏から九州は長崎県に移動しました。よって、新しい本拠地を起点として出張費を改定することとなりました。

 また、これまで射撃コースから小規模部隊戦術コースへと進む流れで組んでいたコース体系を改編し、実戦的射撃コースと小規模部隊戦術コースとに分けました。よって、本日以降、個人レベルでの技量を磨くことを目的とされる方は実戦的射撃コースを、既にある程度のレベルの技量をお持ちの方々は小規模部隊戦術コースを直接受けて頂くことが可能です。ただし、いくつかのコースはその基礎となるものを履修してからの受講となりますので、詳しくはSWTの公式HPにてご確認下さい。

 なお、明日(令和元年10月1日)より消費税率が上がりますが、当スクールの料金は税込み価格にて表記しており、実質、受講者の皆様にお支払い頂く金額に変動はありません。

 新しいコース体系と出張費については、本日(9月30日)の正午までに公式HP上にアップデートされます。

 よろしくお願い致します。

 Shadow Warriors Training代表・インストラクター
 田村義人  

Posted by Shadow Warriors Training at 10:45お知らせ

2019年09月15日

射撃姿勢について(5)


 このシリーズの最後に、よく言われる「標的面積」についての誤解を解いて締めくくりたいと思います。

 前かがみの様な姿勢で射撃する人の中には、相手に対して自分の標的面積を小さくすることで撃たれにくくする、と言う人がいます。確かに射距離が100mを超えればその理論は理屈として通じます。特にアイアンサイトだけを用いた射撃では、肉眼ではっきりと認識できる標的のサイズや特徴などが100mを超えると衰え始めてきます。

 ですが屋内外を問わずCQBでの交戦距離はせいぜい数mから10数m程度です。その様な距離では前かがみになって少々身体を小さく見せようとしたところで、殆ど効果はありません。逆に、これまで書いてきた様に自らの動きに制限をかけてしまうことで機動力を殺してしまい、敵に戦術的優位性を奪われることになるだけです。一般的に敵の攻撃から身を護る(敵の命中率を下げる)には、遮蔽物を巧みに活用するか、相手から距離をとることだと教えられます。ですが、そもそも交戦距離が短いCQBでは、遮蔽物の巧みな活用と、敵に照準を絞らせ難くするための動き(機動力)しか身を護る手段がありません。

 また、生き残りを賭けた撃ち合いにおいては、脚や腕や腹に当てたところで相手にはまだ反撃する余地が残されますので、胸部から頭部にかけたいわゆる「バイタルエリア」を初めから狙います。話を少し脱線させますが、もしバイタルエリアを初めから狙う事が人道的観点や手順に照らし合わせて問題だと言う部隊や組織があれば、そもそもForce-on-PaperやForce-on-Target訓練の段階でバイタルエリアへの着弾は減点や失格とする基準を設けるべきです。そしてその手順が染みついたところでバイタルエリアを狙ってくる敵と対峙したForce-on-Force訓練を実施し、生存率を検証してみて下さい。

 さて話を戻しますが、実際にバイタルエリアを狙う際に敵の姿勢がどの程度影響するのか?こちらの写真を見れば、立射ちの姿勢と膝射ちの姿勢ではシルエットとしての全体的な標的面積は異なるものの、実際に照準を定めるバイタルエリアの大きさには全く変化がないことが一目瞭然だと思います。自身から敵がこの様に見えるということは、敵からも自身が同様に見えているということです。つまり、CQBでは前かがみの姿勢をとって「標的面積」を小さくするという行為は実際は何の効果もない都市伝説に過ぎません。

終わり
  

Posted by Shadow Warriors Training at 19:07小ネタ

2019年09月01日

射撃姿勢について(4)


 命中率を高めるために機動力を落とすのか、それとも命中率を下げてでも機動力を高めるのか。紙の標的だけを相手にした訓練(Force-on-Paper又はForce-on-Target)だけでは命中率のみでしか成果を見れませんので、戦術面を深く考察することに繋がりません。ですが、自由意思を持った生きた人間を相手にした訓練(Force-on-Force)を行うと、それまで見えなかった戦術面での問題が浮き彫りになります。
 
 撃ち合いで重要なことは、撃つよりも撃たれないことです。撃たれないためには植生や地物などの陰掩蔽を巧みに活用するか、攻撃力(射撃、火力)と運動(機動力)を巧みに組み合わせた射撃と運動(Fire and Maneuver)を実現させる必要があります。そして、機動力を最大限に高めるための究極の選択肢は、移動間射撃を止めることになります。

 これは遮蔽物の陰に隠れたまま出てこないという訳ではありません。相手の照準を遅らせたり、相手の照準が定まるまでに遮蔽物の陰に入るために素早く動き、停止して安定した姿勢にて精度の高い射撃を実施し、また素早く動くといった、移動→射撃→移動を繰り返すことで機動力と命中精度の双方を両立させることを言います。上の写真の構え方はこの様な戦術を用いた際によく見られる構え方になり、上半身はほぼ標的に正対しているものの下半身は次の動きのために走り出し易い態勢になっています。なお、移動→射撃→移動を繰り返す射撃訓練は、Tim Kennedy氏のSheepdog Responseや、Pat McNamara氏のTMACSなどでも教えられています。


 逆にイスラエルでは停止後のより安定した姿勢を追及し、深く腰を落とした構え方が教えられています。この写真では下半身も標的に正対していますが、斜めを向いた構え方もあります。しかし、何れにせよ、イスラエル式ではアメリカ式よりもより深く腰を落とす構え方が教えられており、これは我と敵だけでなく、その場に第3者が数多く存在する混在間における射撃を意識しているからです。

 そのような状況では射撃中に誰かがぶつかってくる場合もあります。イスラエル式ではその際に多少の衝撃が与えられても高い命中率が維持するための身体の安定を目的として、アメリカ式よりも腰を深めに落とした構え方が教えられています。しかしながら、腰を深く落とすにしても上体はほぼ真っ直ぐを保ち、下半身だけで重心を落とす構え方になります。上の写真のアメリカ式でも下の写真のイスラエル式でも、決して窮屈な前屈みの姿勢にはならないのは共通です。

(5)へ続く
  

Posted by Shadow Warriors Training at 22:22小ネタ