2017年01月29日

ウイングマンに求める資質


 ウイングマンとは、戦闘機の編隊飛行における僚機のことです。2人組で行動するシステムをバディー・システムと呼びますが、その相方(バディー)の戦闘機バージョンがウイングマンです。陸上戦闘でもバディーの代わりにウイングマンと呼ぶことがありますが、特にCQB戦術ではその呼び名が浸透しています。

 ウイングマンを有する利点は、自分が見れない部分を任せることが出来ることにあります。2つよりも4つの目、1つよりも2つの頭脳で見て考えることで、独りでは陥りがちな問題や見落としがちな点を互いにカバーすることで互いの生存率を高めることが、ウイングマンのコンセプトです。加えて、1丁よりも2丁の銃で問題に対処出来ることから、戦術的優位性を確保することにも繋がります。このシステムは慎重に進みながら潜んだ敵に接近したり探し出すステルス戦術でも、敵をかき乱して混乱を生じさせるフラッド戦術でも用いることが可能です。強いて言えば、用いるべきです。ただ、ステルスの場合とフラッドの場合とでは、若干フォーメーションが変わることに注意が必要ですが。

 では野戦では使えないのか?答えは否です。2人1組で行動することで射撃と移動が可能となり、また弾倉交換や故障排除の際に援護を受けることも期待出来ます。更に、他の組と連携することでより効果的かつ継続的な射撃を実施することが可能となるだけでなく、他の組との連携や自身の組の周辺警戒も互いに役割分担することで効率的に実現することが可能となります。

 では更に、2つ以上の頭脳があればそれで良いのか?答えは否です。確かに同じ部隊で同じ訓練をしている者同士、戦術的思考や行動はほぼ同じものとなります。目的や制約、SOPやTTPが同じである以上、物の見方や考え方が似てくるのは仕方がないことです。しかし、そこに落とし穴があります。同じ物の味方や考え方をするということは、同じ見落としや間違いをする可能性もあるということです。これはバディー・システムでも班でも分隊でも小隊でも、全員が同じ事を同じ様にしか見たり考えたりしていない場合は、誰も何も見たり考えていないのと同じことです。

 社員の意見が無視されたり意見具申が許されないワンマン経営の会社はどうなりますか?顧客のニーズを把握することや時代の流れに乗ることが出来ず、仕事を失って経営破綻します。おかしいと気付かなかったり気付いても言えないことが、取り返しのつかない結果へと繋がった訳ですが、これが戦場でも当てはまります。バディー・システムは仲良しクラブでは成り立ちません。かと言って喧嘩ばかりする者同士でも成り立ちません。互いに率直に意見し合いながら間違いを指摘されても恨んだり根に持たない、尊重し合える大人の関係性が、互いをウイングマンとして認め合うためには不可欠となります。  

Posted by Shadow Warriors Training at 23:56小ネタ

2017年01月23日

隊容検査、コントラクター流


 隊容検査と聞けば自衛官の方々は服装から装具から武器から装備までありとあらゆる細かい箇所をチェックされ、作戦についての細かい質問を受けたりと、非常に面倒くさいものであるとのイメージが定着しているのでは?と思います。自衛隊ではまだまだ官品絶対主義が強い風潮ですので、これまでのやり方が続くと思います。しかしながら一部の部隊では、私物の使用が認められている場合があります。その場合はこれまでの隊容検査とは異なる着眼を持って実施する必要があると思いますので、役に立てればとの思いを込めてコントラクター流の隊容検査を紹介させて頂きます。

 点検する内容は米軍や自衛隊のそれと変わりありません。やり方の違いとしては、隊長が自分1人でやるとは限らず、副隊長や分隊長に権限と責任を委譲して全て或は限定的な範囲内で隊容検査を実施させることがあります。ただ、決定的な軍隊との相違点としては使用する装備品が一律でなく個人ごとに異なることと、最悪のケースを予め想定して隊容検査を実施することにあります。

 コントラクターは使用する銃器も違えば装備も違います。装備が違えば弾納や医療キットの取り付け位置もそれぞれ異なります。その様な部隊で負傷者が発生した場合、医療キットがどれか分からないなどの理由で戦闘外傷ケアが遅れることがあっては無駄に死者を出すことに繋がります。そこでコントラクターチームの隊容検査では、各自の銃の負い紐の着脱要領、アーマーの着脱要領、医療キットの位置、止血帯の位置を各自が順番に全員に展示説明します。また、予備弾薬やバッテリーなどそれぞれが分担して携行する装備なども互いに場所を示し説明することで、各隊員の戦闘準備が整っているのかを確認するだけでなく、作戦中の負傷などといった最悪のケースでも時間を無駄にせずケアを施したり、必要な装備を取り出したり出来るように準備します。

 そもそも隊容検査はパスしてなんぼの話しではなく、その先の作戦中のことを重視しているべきです。使い勝手の良い私物装備の許可は確かに隊員のモチベーションを挙げる手段としても使えますが、それによって生じるであろう不具合を予見して対策を取らなくては、私物が隊員の命の足かせになりかねません。逆に言えば、それらの措置が十分に講じられていれば、使用できる私物の範囲はもっと拡大されても良いのではないかと思います。  

Posted by Shadow Warriors Training at 00:16小ネタ

2017年01月16日

適正な装備品の着用法について


 先日一般の方から依頼を受け、公開可能な範囲で技術指導を行ってきました。現職の警察官や自衛官と比べると、やはり銃の装飾や装備品に相当な金額をつぎ込んでおられるのが見て取れました。ただ残念なことに(と言うか実際に命を懸けて戦う訳ではないので)高価な装具であってもそれらを適正に着用されていない方が多く見受けられましたので、この場を借りて経験に基づく自論を述べさせて頂きます。

 1つ目はレッグホルスターの装着要領です。これはプロ用コースでもたまに見られるのですが、ピストルを抜く際に抜き難さを感じたり、ピストルを抜く際に上半身をホルスター側に屈曲している現象です。その理由は上の写真に見られる様に、レッグホルスターの位置が低すぎることです。大抵の場合は大腿部に巻き付けるストラップが2本ありますが、上側のストラップを脚の付け根付近まで上げるか、上側のストラップを外して下側1本だけで使用して、ピストルが大腿部の中央あたりに位置するように装着すると上半身を屈曲することなくスムーズに抜き差しが可能となります。

 上半身を屈曲させるのに問題はないとの意見もあるでしょうが、アーマーを着用した状態で屈曲させることは可能でしょうか?また、移動間でピストルを抜く必要があった場合に、足場が悪い場所で移動しながら上半身を屈曲させることで転倒等の危険性・可能性は?少しでも確実に、早く、かつ安全にピストルを抜いて応戦するためには、ホルスターの位置を調整する必要があります。

 目安としては、真直ぐ立った状態で腕を自然に垂らし、腕を意識して伸ばすことなく指先でホルスターの先端(銃口側)が触れるかどうかが判断基準となります。触れることが出来る位置がホルスター取り付け位置の下端の限界の目安となりますので覚えておいて下さい。

 そして、アーマーのホルスター側には無駄なポーチ類を付けないこと。ピストルの抜き差しの妨げになりますので、抜き差しの際のピストルの動線上には下の写真の様に引っ掛かる恐れのあるポーチ類は付けないことです。


 ただし、この写真の装具の着用例にも問題点があります。それは利き腕と逆側の足にニーパッドが付けられていないことです。一昔前は若い海兵隊員は金がないのでバディーとニーパッドを共同購入し、それぞれ片方ずつを利き腕側の足に着用していたことがありました。しかし、市街地での戦闘はスピーディーでダイナミックで3次元的であることから、必ずしも右足や左足だけを地に着けたニーリングの姿勢がとれる保証はありません。その様な戦場でニーパッドを履いていない側の膝を硬い地面につける必要があった際に、膝を損傷させることを恐れてゆっくりと姿勢変換を行っていては被弾は避けられません。今は若い海兵隊員でも両膝に着けています。格好から入りたい気持ちも分からなくはないですが、実用性を重視して下さい。

 そして最後がスリングです。1点式、2点式、3点式それぞれに長所と短所がありますが、何れを使用する場合でもライフルをスリングだけを用いて身体にぶら下げた際に、ライフルが身体の中央か利き腕(ピストルを携行している逆側)に垂れるように装着して下さい。ライフルが弾切れを起こしてピストルにトランジッションする際に、ライフルが邪魔をしてピストルが抜けないようでは本末転倒です。

 とりあえず今回はこの辺りで。
  

Posted by Shadow Warriors Training at 11:16小ネタ

2017年01月02日

ご挨拶


 遅ればせながら、皆さま明けましておめでとうございます。2016年も多くの自衛官、警察官の方々に訓練を受けて頂き、ありがとうございました。2017年もよろしくお願い致します。なお、今年はいよいよSUT-Bの次の段階である本格的なCQB訓練がスタートします。乞うご期待。

 また、今年から1コースにつき1名に限り、訓練用装備一式のレンタルを開始します。これまでSWTのトレーニングに興味はあったものの、個人の訓練用装備を所有していないことから参加を見送っていたという声を聞きましたので、ショットガン以外の装備のレンタルを開始します。詳細は公式ホームページ上に後日記載しますが、グロック17・AKクリンコフ・予備弾倉・ベルトキット一式をレンタル致します。

 なお、2017年は予定が埋まっている日が既にあります。随時アップデートしますが、お申し込みの際にはHPのスケジュールをご確認の上、ご連絡頂けますようお願い致します。

 それでは皆様トレーニングでお会いしましょう。  

Posted by Shadow Warriors Training at 15:38その他