2017年03月05日

リーダーシップとトレーニングについて(3)

リーダーシップとトレーニングについて(3)
 教え方で注意しなければならないことの1つが、何故間違いが起こったか(訓練生が失敗をしたか)を正しく見極めることです。例えば1つのドリルで訓練生が失敗した場合、その失敗は訓練生がそれまで教わった技術や戦術以外のことを行ったことで起こったのか、それともその失敗は教わったとおりの技術や戦術で臨んでも起こったのかを正しく見極めることが重要です。前者であれば、前回述べたように訓練生に間違いを気付かせて失敗と正解を頭と身体で処理させることが出来ます。しかし後者の場合は、それまでの訓練で演練した技術・戦術やSOPがそのドリルで付与された状況で使えないものかも知れない可能性があります。この違いを見極められないまま、失敗した訓練生を叱責するだけでは誰にとってもプラスにはならず、またインストラクターとしては完全に失格です。

 加えて、最悪のケースとしては、訓練生の失敗を叱責するだけで正解を与えることはせず、「お前の頭でよく考えろ」と無責任に言い放つことです。本当に失敗をその場で治したいのであれば、正解を言わなくとも正解へと導く手助けをすべきです。答えは自分で考えさせても、ヒントは惜しみなく出すのがインストラクターの役目です。正解はその場でなくとも良いですが、訓練が終わるまでには辿り着かせるべきです。何故なら、与えられた訓練時間の直後にそれと同じ状況で実力行使をする場面に直面する可能性があるからです。

 「反省させて後日答えに辿り着けばよい」と思っている指導者は、訓練を単なるイベントや通過儀礼としてしか認識していません。訓練はそもそも何のためにするのかさえ分かっていないでしょう。彼らが年間に定められた時間数だけこなしていればよい、と思っているだけの悲しい結果です。訓練はやることに意義があるのではありません。訓練は、そこで学び身に付けた技術や戦術を持ってして、実戦で生き抜くために行うものです。インストラクターは訓練生の命を預かっているとの認識が必要であり、そういった面から見ればリーダーと同等の責任感がない者には役目は務まりません。逆に言えば、インストラクターをさせることで、自ずとリーダーとして必要な責任感を植え付けることが出来ます。

 まあ、先程の「お前の頭でよく考えろ」と偉そうに言いながらヒントすら与えない連中は、初めから答えなど持っていません。自分達も答えを知らないから、それを突っ込まれたくないがために逃げているだけです。その様な連中には責任感はなく、リーダーとしての素質や素養はありませんので、インストラクターは辞めさせるべきです。
(4)に続く



Posted by Shadow Warriors Training at 23:58 │小ネタ