2019年06月17日
銃対ナイフ(1)

銃はナイフに対して必ずしも有効なのか?銃の専門家とナイフの専門家との間で行われ続けている、終わりのない討論のテーマです。この議論が終わらない理由は、双方が技術ベースの検証しかしていないことが原因です。しかしながら生存を賭けた局面を想定するにあたって重要なのは、普段の訓練で発揮出来る完璧なパフォーマンスが必ずしも発揮出来る100%の保証の無い極限のストレス下において、戦術ベースでの検証を行うことです。
先日、埼玉県警が刃物を所持した男に対して射撃した場面を撮影した映像がニュースで流れていましたが、現場を知らない(警察実務を経験したことのない)者は十中八九、刃物を持った手を狙えだとか、相手を動けなくするために足を撃てなどと言います。勿論、当事者である現場の警察官も相手を殺さずに制圧逮捕するためには手足を撃つ方が理想的であることは十二分に分かっています。しかしながら、職務として銃器の訓練を受けた者こそ、その様な末端部への射撃は相当なレベルの訓練を受けていない限りほぼ不可能であることも分かっています。
先ずは次の動画をご覧下さい。この動画は今年の5月3日にカリフォルニア州のオクスナード(Oxnard, California)で発生した事案の様子を、現場に駆け付けた警察官のボディーカメラが撮影した映像です。
https://www.youtube.com/watch?v=ynWBfhzMEV4
事案の概要としては、刃物を持った未成年の少女が路上に居る、との通報を受けて駆け付けた警察官が職質中に危険を感じ、この少女に向けて発砲したというものです。再三に渡る刃物の投棄と停止指示の後に1分56秒あたりで警察官による発砲が確認出来ますが、その場面をもう一度見直して下さい。発砲した状況ですが、確かに少女は刃物を持って警察官に向かって突進するかの様な素振りを見せていますが、その際の警察官と少女の距離は近いと思いますか?それとも遠いと思いますか?
次回は刃物を所持した相手との交戦距離について、技術ベースではなく戦術ベースな検証・解説をしたいと思います。
(2)へ続く
Posted by Shadow Warriors Training at 00:43
│小ネタ