2017年10月01日

巷でよく見る間違い(3)

 出張と予備自とそのまた後の出張とで2週間ぶりとなります。パート3へと参りましょう。
巷でよく見る間違い(3)
 戦闘衛生や第一戦救護でこれをやっている者がいれば、完全にアウトです。この様に負傷者を曳航しながら射撃したところで命中精度は極めて低いことが既に複数の機関にて証明されています。また、負傷者の救出にはスピードが要求されますが、このやり方では移動速度は非常に遅いです。そもそも戦闘衛生の基本を理解していれば、負傷者がいる場所がいかに危険か理解しているはずですので、そこにわざわざ行って銃から手を放してカラビナを負傷者のリグに引っかけるなど、自殺行為です。

 仮に他の隊員の掩護下で救出に向かったのであれば、救出に向かった隊員の任務は救出であって射撃ではありません。よって、救出の時間を犠牲にしてまで頑なに射撃をしたがる理由はありません。もし他の仲間の掩護が不十分で救出に向かった隊員までもが射撃を要する状況であれば、そもそもその救出任務は始めから失敗です。戦闘衛生の現場では、負傷の種類や程度のトリアージよりも先に行うべきトリアージがありますが、それを理解していない証拠です。

巷でよく見る間違い(3)
 負傷者を曳航する隊員の数が1名であろうが複数であろうが、進行方向に身体の正面が向いていた方が人間は早く動けます。そして負傷者を救出するのであれば、先ずはその任務が達成可能か否かの判断が必要であり、「助けたいから」といった安物のヒューマニズムは捨て去るべきです。残酷な話しですが、戦闘衛生は全ての負傷者を助けるためのものではありません。戦闘衛生は、統計的に見て助けられる可能性のある者を助けるとともに、負傷していない隊員を負傷させないことを目的としています。よって、救出する事が妥当だと判断されても、状況が急激に変化する可能性があることから、負傷者の曳航は迅速に行います。
(4)に続く




Posted by Shadow Warriors Training at 21:33 │小ネタ