2016年10月16日

小銃弾の貫通能力について


 市街地では野外に比べて、身を隠すだけの隠蔽物だけでなく銃弾や砲弾の破片などを防ぐ掩体が手近に多く存在するように見えますが、果たして小銃弾は実際どの程度の貫通能力があるのでしょうか?市街地戦/屋内戦は野戦よりも敵味方が複雑に入り乱れますので、敵の武器から身を守るためだけでなく、壁や建物の向こう側にいる味方に損害を与えないためにも、銃弾や砲弾の貫通能力を知っておくことが大変役に立ちます。よって、今回は”とある組織”による検証実験の結果を元に、5.56mm弾と7.62mm弾(常装弾)の貫通能力の一部を紹介したいと思います。

 ただし、ここで紹介するデータはあくまでも検証実験の結果であり、実際には建造物の老朽化や着弾時の速度や角度などが微妙に影響を与えますので、以下のデータが絶対的な数値であると勘違いしないで下さい。また、今回の実験は外国の軍隊にて行われたものですので、自衛隊が用いる7.62mm減装弾に関するデータはありませんので、参考としてお考え下さい。

 5.56mm弾は:
 ・およそ200m地点にて、最大の貫通能力が発揮される弾道特性を有する
 ・25m以内では、貫通能力は上記の場合よりも大きく劣る
 ・1発であれば、5cm厚のコンクリート(補強なし)にて食い止めることが可能
 ・1発であれば、内容物を最大限に詰め込んだ砂嚢にて食い止めることが可能
 ・市街地戦などにおける近距離(25m程度)においては、
   ・20cm厚の強化コンクリート製の壁を貫通させるのに35発が必要
   ・上記の壁に直径10cm程度の穴を開けるのに350発が必要
   ・間にレンガ1枚を挟んだ30cm厚のコンクリート製の壁を貫通させるのに60発が必要
   ・上記の壁に人が通れる直径60cm程度の穴を開けるのに250発が必要
とされています。

 また、7.62mm弾は:
 ・25m、100m、250mの何れからの距離でも5cm厚のコンクリート(補強なし)を貫通する能力を有しているが、
 ・松材の板の場合は上記の距離においてそれぞれ33cm、45cm、104cmを貫通する
 ・市街地戦などにおける近距離(25m程度)においては、
   ・20cm厚の強化コンクリート製の壁に直径10cm程度の穴を開けるのに100発が必要
   ・間にレンガ1枚を挟んだ30cm厚のコンクリート製の壁に直径15cm程度の穴を開けるのに30発が必要
   ・上記の壁に人が通れる直径60cm程度の穴を開けるのに200発が必要
とされています。

 なお、1cm厚の軟鋼板に至っては、5.56mm弾も7.62mm弾でも25mの距離から何れも1発で貫通することが確認されています。

 市街地では一見すると強固に見える構造物でも、1点に集中して着弾した場合は身を隠すには危険であることが分かります。また、逆の考え方をすればバックストップとしての性能も一定の条件下でしか期待出来ないことから、味方が強固に見える壁の向こう側にいるからと言って安心出来ることも出来ません。

 なお、アフガニスタンの山岳地帯などにみられる伝統的な家屋は、藁と泥から出来たレンガを重ね合わせてさらに泥で繋ぎ合わされた上に外壁部が泥と粘土を混ぜたものでコーティングされた構造となっています。この様な構造の壁は太陽からの熱を遮断するためと建物全体を支えるために時として90cmにも及ぶ厚さになっています。比較的柔らかさを備えた厚いこの壁に対しては、5.56mm弾や7.62mm弾では殆ど破壊することが出来ず、40mmHE弾でも若干の土を巻き上げる程度しか効果がなかったとの報告が出されています。

 要するに遮蔽物は厚さだけでなく、着弾時の衝撃を和らげるための柔らかさも重要な要因であり、単純に硬いだけの軟鋼板よりも、泥のレンガで出来た壁の方が銃弾に対しては強いことが分かります。よって、敵味方が入り組んで戦うCQBなどで隣の部屋や別の階にいる味方に損害を出さないためには、壁や床・天井の対弾能力にも注意して戦術を練る必要があります。



Posted by Shadow Warriors Training at 22:24 │小ネタ