2016年02月21日

トレーニングに必要なリアリティーとは?(3)

トレーニングに必要なリアリティーとは?(3)
 バリケードを正しく使い、状況に応じて様々な姿勢を駆使して色々な場所に配置された標的に当てることが出来るのであれば、次の段階は撃つ・撃たないの状況判断になります。通常、射場では標的は全て撃ってよい(撃つべき)的ですが、現実世界では味方や第三者といった敵以外もその場で複雑に動き回ります。警察官や警備任務に就く自衛官であれば普段から「戦場」となり得る場所に敵以外の人間が入り組む可能性が高いですが、それ以外の場合でも戦闘が市街地で行われるとなれば民間人が「戦場」に存在する確率は高くなりますので、瞬時に「撃つ・撃たない(Shoot/No Shoot)」の判断を取れるか否かが自身や部隊、加えてそこに居る民間人の生存に強く影響します。

 撃つ・撃たないの判断と射撃を行うには、上の写真の様な標的を使うことが最も簡単です。この写真では、手の平を見せて攻撃の意志がないことを示すマーキングのある「撃ってはならない」ものと、それ以外の「撃つべき」標的とに分けていますが、逆に何もマーキングのない「撃ってはならない」ものと、銃やナイフなどのマーキングが施された「撃つべき」標的とに分ける方法も可能です。この様なドリルを行う上での1つ目のポイントは、射手に目隠しをさせたり後ろ向きに待機させるなどしてこれら2種類の設置場所を毎回変化させて、射撃する直前までどこにどの的があるのか射手に分からせないようにすることです。そして2つ目のポイントとしては、時間制限を設けたり、複数の射手に挑戦させてタイムを競わせるなどして、瞬時の状況認識能力が必要となるようにドリルをコントロールすることです。

 加えて、現実世界では必ずしも敵と味方や第三者が横並びになるとは限りません。また、自分と標的との間に撃ってはならない者が居ないのか?標的に命中した弾丸が標的を貫通しても後方に人的被害が出ないのか?を絶えず確認してから引き金を引くことが要求されます。そこで、写真の様に奥行きのある配置にする、つまり撃つべき標的と撃ってはならない標的を射手の位置から見て直線上に重なるように配置すると、よりトレーニングにリアリティーを持たせることが可能となります。標的の種類を変えるだけでは「撃つ・撃たない」の「識別」だけのトレーニングしか出来ませんが、標的の位置を複雑化させると「撃てる・撃てない」といった「判断」もトレーニングする事が出来ます。高価なシミュレーターや実弾射撃が出来る環境がなくとも、エアガンと安全が確保された区画されたエリアさえあれば、プロに要求される「識別」や「判断」が要求されるリアルなトレーニングを実施することが可能です。
(4)へ続く



Posted by Shadow Warriors Training at 19:23 │小ネタ