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2015年10月11日

ポリス・スナイパー(3)

ポリス・スナイパー(3)
 また往々にして射撃場で撃つ際の伏射ちの姿勢は実際の状況では取り難いものです。そのため、バイポッド等が使えない状況に備えて様々な姿勢や遮蔽物の陰からの射撃姿勢をひたすら訓練することがより望ましいです。その1つの例が上の写真です。射手の前に立つなんて通常の警察の訓練ではあり得ないでしょうが、銃口より前に立っている訳ではありませんので弾に当たる危険性はありません。自衛官の方ならこの様な立ち位置には何も抵抗ないはずです。もしこの位置が危険だと言われるのであれば、薬莢回収係は危険手当を支払われるべきでは?

 そして最後にローライト射撃のドリルとなります。詳しくは書けませんが、こちらからライトを照射しなくとも標的を確認することは可能です。そしてローライト射撃は特別なドリルを作成する必要はありません(勿論、ローライトの概念や注意点といったことに関する訓練は別に必要です)。上記の様な現実世界の状況を模した様々なドリルを、ローライトやノーライトといった環境下で実施するだけです。

 スナイパーと聞くと、長距離射撃や擬装、ストーキングやトラッキングといった特殊な技術の習得が必要かと思われがちですが、実際は警察系のスナイパーはそこまで要求されていません。実際の現場で必要性の低い技術の習得を目指してやみくもに訓練プログラムの内容を増やす必要はありません。現状を分析し、そこから得られたデータに基づいて必要性の高い分野の訓練に先ずは集中すべきです。一通り基本的な訓練を終えたならば上のレベルの訓練プログラムへと進むべきですが、前述のストーキングなどではありません。次は突入部隊との連携訓練となります。突入部隊の要請に基づいて素早く脅威を排除したり、突入部隊から見えない位置にいる脅威の情報を素早く的確に伝えたりと、チーム戦術で最も重要なコミュニケーション訓練へと進みます。

 実際問題として、狙撃技術は高くてもコミュニケーション技術が低い人もいますが、それではチームとして機能しません。標的を指定されて射撃のタイミングを指示されるだけの極々簡単な仕事でよければ別ですが、ハイレベルなチームの一員としてスナイパーは務まりません。チーム戦術に必要な3要素はShoot・Move・Communicate(射撃・移動・連携)ですが、前の2つはちょっと訓練すれば誰でも上達します。最も難しく上達するにはそれなりの訓練を受ける必要があるのが最後のコミュニケーションです。

終わり



Posted by Shadow Warriors Training at 14:31 │小ネタ