2015年08月09日

ホルスタードローについて(1)

 制服警察官や自衛官は、ヒップホルスターやレッグホルスターといった、服の外側に拳銃を携行するタイプのホルスターを用いています。残念ながら何れの組織も上層部はホルスターを単なる拳銃を収納する道具としてしか認識していないようで、様々な局面においてどの様にホルスターから拳銃を取り出すのが戦術的に有効であるのかを十分に考えていないように思われます。その証拠として、検定射撃にはホルスタードローが含まれておらず、また片手が使えない場合や敵と組み合った状態でのドローについては一切教育が施されていないのが現状です。

 眼前の敵が特にこちらに気付いて銃口を向けている(或は向けようとしている)場合は、本能的に少しでも早く銃口を向けて少しでも早く引き金を引こうと身体が動いてしまいます。逆に言えばその様な本能的行動が取れない場合は、銃を装備した戦士としては失格と言えるでしょう。しかしながら、脅威が切迫した状況であっても銃器安全4則は自分・味方・第3者の安全のために守られなければなりません。スピードと安全といった相反する2つを実現しながら、確実な命中といった高い精度も同時に要求されますので、普段の訓練なしには極限状態で実現出来得るものではありません。

 ホルスタードローの手順については色々な流派がありますが、SWT流のやり方についてはトレーニングを受けて頂ければ丸一日嫌ほど繰り返しますので、ご興味のある方はトレーニングを受けてみて下さい。嫌でも脳と筋肉が記憶するまで反復しますので、お楽しみを。

 しかし世の中には私服で拳銃を隠匿して携行する部署も存在します。そこで今回は隠匿タイプのホルスターについて持論を述べたいと思います。

 まずはショルダーホルスター。私が府警にいた当時は官品として存在していました。当直勤務の際には、ニューナンブを革製のショルダーホルスターに収めていました。機捜(機動捜査隊)の中にはイーグル社製のショルダーホルスターを買って使用している隊員もいました。当時はナイロン製のプロ用のタクティカル製品といえばイーグルがブラックホークしかなかったと思います。
ホルスタードローについて(1)
 ショルダーホルスターは腰回りが軽く、丈の短い上着を着ても隠匿性が高いのが特徴ですが、欠点はドローの際に銃口が彼方此方に向いてしまうことです。また中には銃口が斜め後ろを向いたり真後ろを向いた状態で保持するタイプもありますので、前述の「本能的に引き金に指をかけてしまう」ことが起こってしまった場合、後ろにいる仲間や第3者が危険に晒られてしまう場合があります。また、夏場など上着を着用するのが周囲と溶け込めずに不自然となる場合には、勧められた携行方法とはなり得ません。

(2)へ続く



Posted by Shadow Warriors Training at 21:30 │小ネタ