2015年07月19日

見落とされがちな訓練課目(3)

見落とされがちな訓練課目(3)
 警察官や自衛官には貸与品/官品以外を自由気ままに使用/着用してはいけない決まりがあります。勿論、好き勝手に武器を用いたりアレンジするのは問題があります。しかし、自分や仲間の命を救うための医療キットも個人単位で携帯してはいけないのでしょうか?いけないのであれば、何故組織は必要最低限のキットと訓練を提供しないのでしょうか?

 その必要性がありながら、組織が提供しないのであれば、医療キットに限っては個人単位で携帯しても良いのではないでしょうか?最低限の内容とすればポケットに入る大きさ程度で収まります。内容を少し充実させたとしても、M4弾倉2本~3本を束ねた程度のサイズに収まります。現場の安全が確保されずに救急隊が近づけないからと言って、仲間や第3者を見殺しにする訳にはいきません。自分を含めた負傷者を死なさないための処置は、現場にいる者にしか出来ません。認めていない道具を用いた処置によって誰かが死んだ場合の責任問題を上層部が危惧しているのは確かですが、逆に必要な道具と訓練を施さずに誰かが死んだ場合の過失についてはどう考えているのか?自分が死にたくない、仲間を死なせたくないとの思いを持つ隊員のことを思うならば、組織は多少の逸脱は認めて個人単位での医療キットの携帯を認めるべきであると私は考えます。

 勿論、訓練を受けずに医療キットを携帯しているだけでは愚の骨頂であり、結局現場で使い物にならないので無意味です。しかし、このブログをお読みのプロの方々は巷のマニアとは違って、単に医療キットを趣味で集めて携帯していることはないと信じています。何らかの訓練を受け、そこで必要と感じたキットを自分なりにアレンジしてお持ちであると信じています。

見落とされがちな訓練課目(3)
 先週、アメリカのテネシー州で起こった軍募集事務所に対する襲撃の事件後の写真です。安保法案に反対する過激派やIS関係者が街中に点在する自衛官募集案内所を襲撃する可能性はゼロでしょうか?未来の自衛官や警察官を殺し、その他の希望者に志願することを躊躇させる目的で、自衛官や警察官採用試験会場に対する攻撃が行われない保障はあるのでしょうか?

 その様な惨事が起こったとしても、銃や爆発物による特殊な負傷をケア出来る者が現場にいれば、状況は少しはプラスの方向に向かうでしょう。敵に対して脆弱性を見せないことと、国民に対して税金を投じた訓練の正当性を主張出来ることです。万が一に備えるための組織である点を国民や現場の隊員/警察官の立場から見直して、一日でも早く単なる心肺蘇生や救急法から脱却した「戦闘衛生」が全自衛隊部隊や警察官/海上保安官のスタンダードな訓練課目になることを願います。
終わり



Posted by Shadow Warriors Training at 22:54 │小ネタ