2015年06月21日
拳銃射撃における待機姿勢について(2)

では、見える範囲に脅威はないが危険度がゼロとは言えない場合、ホルスターに銃を納めるまでの間はどの様に銃を構えるべきなのか?あるいは、脅威は存在するがローレディで構えることが状況的に難しい場合、味方や第3者に銃口を向けないためにはどの様に銃を構えるのが得策なのか?
1つ目のやり方が1枚目の写真にあるSUL(スル)です。SULとはポルトガル語で南(サウス)を意味する言葉で、身体の中心から見て上下左右に方角を当てはめた際に真下が南になることから付けられた呼び名です。この構え方は凶悪犯罪件数の多いスラム街地区を管轄するブラジルの警察部隊が発祥です。よって、ブラジルの公用語であるポルトガル語の「南」がこの構え方の名称となっています。
大雑把に説明すると、銃口がほぼ真下を向く様にみぞおち辺りに銃を保持します。その際、利き手は握把を握った状態のままですが、非利き手は握りを解除しているものの直ぐに握り直せれるように利き手と接触した状態を保ちます。SULは周辺に障害物(味方や第3者)がいる場合の索敵時や移動時に有効ですが、故障排除や弾倉交換には適していません。

そしてもう1つのやり方が2枚目の写真にあるハイレディーです。テンプル・インデックスとも呼ばれます(テンプルとは英語で「こめかみ」の事です)。利点としては安全方向に構えた状態であるものの、直ぐに応戦出来るように両手で銃を把持した状態が維持出来ることです。また、故障排除や弾倉交換にはハイレディーの方が適しています。反面、欠点としては銃が視線の一部を遮りますので、目だけでなく身体を頻繁に動かして死角を無くす努力を続ける必要があることです。
「銃口を真上に向けただけでは、暴発の際に一度発射された弾が落下して人を傷つける可能性がある」との意見もあります。しかし、真下に向けていても跳弾の危険性は同じようにあります。要は万が一の可能性についてはどちらも同じですが、国内の公務員に関して言えばもっと重要なことは、「第3者が見てどちらが安全に見えるか」です。例え銃口を向けていなくとも、例えその者を助けようと銃を取り出していたとしても、見た者が「銃口を向けられた」と感じたらマスコミや弁士がギャーギャー騒ぎたてるのがオチです。よって、1つのやり方に固執せず、その場その場に合わせて、より適切な方法を選択することを普段から訓練しておく必要があります。
また、正しく設計・製造・手入れされた銃が「暴発」を起こすことは極めて稀です。いわゆる「暴発事故」の99%は引き金に指を掛けるなどと言った「怠慢や過失」が原因であって、機械的なトラブルが原因ではありません。銃口を安全方向に向けるのは万が一の撃発を考慮してのことですが、引き金にさえ指を触れなければ(トリガーフィンガーに十分な注意を払っていれば)、その危険性は何億分の1にまで激減させることが出来ます。
ブログで公開出来る情報はここまでです。色々な構え方、撃ち方、姿勢などをもっと詳しく知りたい方は、是非トレーニングを受けてみて下さい。
おわり
Posted by Shadow Warriors Training at 18:50
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