2015年06月08日

CQBトレーニングについて

CQBトレーニングについて
 交戦距離が近いCQBは、野戦とは異なったマインドセットと戦術が必要になります。野戦では遮蔽物から遮蔽物へ移動を繰り返しながら射撃と運動(Fire & Maneuver)を利用するのが戦術の基本ですが、CQBでは利用出来る遮蔽物がない場合が殆どです。また戦闘のテンポもCQBでは非常に早く、敵味方が入り乱れる様相や距離もCQBでは野戦のそれを上回ります。

 一般的に挙げられるCQBの特徴としては、
   ・高ストレス下での射撃(撃ち合いの中における高いレベルでの速さと命中精度の維持)が要求される
   ・交戦距離が極めて近い(手の届く距離から、遠くても30m程度)
   ・十分な照度がない場合が多い(ローライト、あるいはノーライト)
   ・射撃スペース/移動スペースが極端に限られている
   ・複数の標的が眼前に存在する
   ・眼前の標的が常に移動しながら撃ち返してくる
   ・標的の傍や、自身と標的との間に人質や第3者が存在する
   ・味方の射界に自分が入ることやその逆が頻繁に発生する
   ・発煙、騒音、爆発、怒声やそれらによる混乱が生じる
   ・前後左右だけでなく、上下も加わった3次元的な動きと射撃が要求される
などがあります。従って、停止間で静止標的に弾を当てることが出来る程度の初心者が対応出来るような戦闘環境ではありません。

  ここでは個人技術や部隊戦術を1つずつ説明するつもりはありませんが、部隊として守るべき三原則がCQBにはあります。それらは、
   1.速度(Speed)
   2.奇襲(Surprise)
   3.攻撃性(Violence of Action)
です。急襲を例にとると、速度が遅いと敵に強固な防御態勢を築かせる時間を与えてしまい、奇襲の要素が弱いと戦術的優位性を保つことが出来ず、攻撃性が低いと敵に反撃する猶予を与えてしまいます。この三原則が1つでも疎かになると、敵の火力と戦術を上回ることが難しくなるだけでなく、時として不可能になります。これが先に述べた「戦闘のテンポ」を指します。

 また、何故か国内(特に自衛隊)では、CQBが近接戦闘ではなく閉所戦闘と訳されていますが、本来のCQBは屋内外を問いません。よって、上記の三原則は近距離の敵との接触を絶つ(特に近距離における伏撃への対処)場合にも適用されます。詳しい理論や技術は今後開講するCQBコースやPSDコースをご期待下さい。



Posted by Shadow Warriors Training at 22:35 │小ネタ