2015年04月03日

間違いだらけの護身術(1)

間違いだらけの護身術(1)
 たまに護身術に関する質問を一般の方々から受けます。「どの格闘技や武道が最も有効か?」や「クラヴ・マガは有効か?」などがよくある質問ですが、そもそもそう言った内容の質問自体が間違いですので、この場を利用してSWT流の護身術理論を説明したいと思います。

 胸倉を掴れたらこうする、後ろから組み付かれたらこうする、といった技法は現実世界では殆どの場合有効ではありません。そもそも相手に襲われるというのは残念ながら既に後手に回った状況であり、態勢的にも戦況的にも既に不利な状況にあります。陸上戦闘に例えるなら、アンブッシュを受けた状態にあります。この状況は物理的に不利に立たされているだけでなく、精神的にも相手が主導権を握っていることになります。

 種々の格闘技や武術をベースにした護身術の技法は、不利な状況から少なくとも五分五分の状態とし、なんとか次の攻撃から逃げるためのものです。しかしながら、現実世界の脅威は道場での示し合わせたような動きにとらわれることがないことから、練習通りのパターンで攻撃してくる保障がありません。また、道場での練習は相手が何をするか予め分かった状態で行うことから、そこに精神的な優劣は存在しません。つまり、巷の護身術訓練には、突然襲われた際に感じる「恐怖」という最も人間のパフォーマンスに悪影響を与える要因が欠けています。

 更に、体術である護身術を駆使して脅威から離脱するのは最後の手段であって、そもそも警戒態勢が高ければ事前に危険を察知することが出来ます。直観的にせよ危険を察知することにより危険に近づかない(危険から遠ざかる)と言ったリスク回避が可能であり、結果として実戦に突入することなく自らの安全を確保出来るのです。また、回避不可能であったとしても、話術により事態を沈静化することや離脱の機会をつくるための時間稼ぎをすることも可能です。つまり本当の護身術というのは、「危険の予測」、「危険の察知」、「危険の回避」、「危険の抑制」、「危険への対処」の全てから成るのです。しかしながら巷ではこの最後の「危険への対処」だけが注目されており、あたかも闘うこと(反撃すること)が護身術であるように理解されています。

(2)へ続く



Posted by Shadow Warriors Training at 21:16 │小ネタ