2015年02月14日

AARについて(1)

AARについて(1)
 トレーニングではAfter Action Review(AAR)と呼ばれる、いわゆる反省会を実施することが必要です。開始前の説明をブリーフィング、終了後の反省会/意見交換会をデブリーフィングと呼んだりする場合もありますが、基本的にはAARもデブリーフィングも同じです。各人がどういった状況でどの様に対応したのか、その際の反省点や考慮すべき事項等など、参加者全員で意見を交換することで良かった点・悪かった点を共有して次へと繋げることがAARの最大の目的です。

 ですが、日本のサラリーマンがやりがちな反省会と称する飲み会と同じに考えないで下さい。第1に酒が入ると話が脱線しがちで、最終的には何を話し合っていたか分からなくなるのがオチです。第2に、冷静に生きるか死ぬかの戦術や技術を議論する席でアルコールが入ることがそもそも間違いです。第3に酒が入ると人の欠点を指摘し合うことが加速されがちで、本来のAARの目的である「情報と思考プロセスの共有と認識」が出来なくなります。そして最後に酒が入ると声がデカくなり機密保全もへったくれもなくなります。

 と言うことでAARを実施するベストなタイミングは、トレーニングの直後です。この時期を逃すと各人の記憶も薄れる場合があり、正確な状況の再現が出来なくなります。また、改善点を指摘するにしても、数日前のことを言われたところで言われた側はピンときません。「鉄は熱いうちに打て」とはよく言ったもので、その日の内に実施するのが大原則です。全体のAARを最後にまとめて実施する方法もありますが、内容が細かくなるようであれば、各ドリルや想定訓練の後に個別にAARを実施する方法を選択することも出来ます。

 では具体的に実施する際の手順はどうすべきか?一連の流れを表すと:
1)トレーニングの目的(全体あるいは各個)を再確認する
2)与えられた状況を再確認する
3)その状況下での各人の行動を再現(口頭や机上で)させ、その行動の理由を説明する
4)別の者がとった行動とその理由を確認し、自身のそれと比較する
5)部隊として、或は個人として他にオプションがなかったのか検討する
6)同様の状況下での別の対応をした際の経験などがあれば、共有する
7)トレーニングの目的を達成させるための最善な行動は何であったのかを再確認する
と言った具合になります。

 AARの目的はあくまでも「情報と思考プロセスの共有と認識」であって、「正しい・間違い」の判断を下すのではありません。AAR進行役となる者はこの点を最も注意してAARを進めて行く必要があります。

 次回はAAR実施時の注意点を詳しく説明したいと思います。



Posted by Shadow Warriors Training at 23:37 │小ネタ