2014年05月02日

バリケード・ドリル

バリケード・ドリル
 最近この手のタイプのバリケードを用いたドリルが流行っています。米国でもVTACなどで積極的に使われていますが、この様な「バリケード」は色々な大きさや角度の隙間から撃つ際の「体勢(姿勢)の体得をメインとした」ドリルであり、遮蔽物を利用した「敵の弾から身を守る」ためのドリルとは少し違います。写真の様な撃ち方が体に染み付いてしまうと、本当の遮蔽物を利用した場合も銃口を突き出して射撃してしまうでしょう。

 銃口を突き出す(遮蔽物に近づきすぎる)と:
  1)こちらの存在にまだ気付いていない敵に、存在をアピールすることになる。
  2)近接する別の敵に銃口を掴まれる危険性がある(特に市街地などのCQBで)。
  3)跳弾に被弾し易くなる。
  4)自らの視界を狭める。
  5)自らの行動範囲を狭める。
などなど、好ましくない事ばかりが挙げられます。遮蔽物は効果的かつ正しく利用しないと、自らの身を守るものとして使えないだけでなく、身を危険に晒してしまうことになります。

 バリケードと遮蔽物とはイコールではありません。遮蔽物はカバーであり、敵の攻撃から身を守ることが出来るだけの強度を備えたものです。この手のタイプのバリケードはむしろ「障害物」に近い存在であって、その障害物の隙間などを上手く利用することがこの手のバリケードを用いたドリルの目的です。

 どの程度接近すべき(あるいは離れるべき)なのか?どちらの膝を接地させるべきなのか?利点は?欠点は?理由は?それらの疑問を置き去りにして見よう見まねでやってしまうと、実銃の世界では好ましくない結果に繋がることになります。



Posted by Shadow Warriors Training at 22:42 │小ネタ