2014年02月10日

IRON FIST 2014(1)

IRON FIST 2014(1)
 さて今年もこの時期がやって参りました。陸上自衛隊と米海兵隊とのキャンプ・ペンデルトンでの合同訓練「IRON FIST」です。

 始まった頃は手順的なものばかりでしたが、回を追うごとに実務的な内容になってきております。欲を言えば、西普連や空挺団だけでなく是非とも全国の普通科連隊からも順番で人を出して欲しいと思います。

 写真は狙撃訓練の一場面です。Unknown Distanceと言って、標的までの距離が分からない状況での狙撃ドリルです。軍隊や警察の検定射撃では決まった距離に置かれた標的を狙って撃つので、サイトやスコープを距離に応じて合わせるだけでゼローイングが出来ます。しかし、Unknown Distanceではちょっとした数学を利用して標的までの距離を測り、その測定で出た射距離に応じてゼローイングを行います。一見難しいようですが、公式を覚えれば簡単です。計算機があれば算出は早いですが、紙とペンで計算する練習も欠かせません。なぜなら、計算機が壊れたや電池が切れたから射距離が計算出来ないでは話にならないからです。

 その測定の際に最も重要なことは、対象物の大きさがどの位なのかを「判定」出来る能力にあります。例えば人間の身長や車のタイヤの直径など、身近な物の大きさを普段から注意深く観察して覚えておく必要があります。測定の際には、それら対象物の大きさがスコープなどのレティクルに刻まれたメモリ幾つ分かを読み取って、公式に当てはめます。公式はミルとMOAで異なりますし、メートルとヤードでも異なりますが、大きくは異なりません。

 ただ、私が受けた狙撃訓練では、私とバディーで異なる基準のスコープを使用していたので、お互いに導き出した射距離を再度バディーのためにMOAからミルやその逆に変換する必要がありました。これは非常に不利でした、特に敵性勢力の攻撃下にある想定では。ストレス下では、戦闘の基本である射撃とコミュニケーションと運動だけで精一杯であるにも関わらず、計算(暗算)が加わるとはっきり言ってカオスです。軍や警察では同じ基準のものが使われますからその様な心配はあまりないでしょうが、コントラクターとしての訓練ではありがちな状況でしたから、逆に良い経験にはなりましたが。



Posted by Shadow Warriors Training at 20:50 │小ネタ