2013年12月18日

集団外傷とは?

集団外傷とは?
 集団外傷(英語ではMass Casualty)といえば、刃物を持った犯人が次々と周りの人を刺していったり、車で人の列に突っ込んだりといった事件を思い描きますが、では具体的にはどこから「集団」になるのでしょうか?

 10人から?100人から?具体的な数字を挙げる方もいるでしょうが、現実はそうではありません。現実的には下記のようなケースが集団外傷に該当します。

 1)救護者の数に対して要救護者の数が多いことから、救護者の許容範囲を超えている
 2)要救護者が必要とする救命技術を、救護者(一次・二次を問わず)が有していない
 3)救護者は必要な救命技術を有するが、必要な器具がない(あるいは足りない)ことから救命措置が取れない

 いかがでしょうか?現実的には要救護者が2名の現場にたった1人で駆けつければ、そのケースは既に集団外傷となる可能性を有しています。また、CPRしか訓練を受けていない通行人にとって、走行中のバイクから転倒し片足を開放骨折した要救護者は、1:1であるにも関わらず許容範囲外です。さらに、医療キットの中味を使い果たした後は、残りの要救護者への手当てが出来ません。

 何れのケースでも必ずしも要救護者が「集団」とならないことに注目して下さい。強いて言うなれば「集団」という言葉に惑わされないで下さい。

 このような状況において、要救護者の負傷の程度を判別することで速やかな以後の処置を取るための「選別行為」をトリアージと言いますが、戦闘衛生におけるトリアージは民間医療におけるトリアージとは異なります。民間医療では緊急性の高い負傷者を最優先に処置しますが、戦闘衛生では必ずしもそうではありません。何故違うのか、どう違うのか、それは今後開催する予定のメディカルコースにてご説明します。



Posted by Shadow Warriors Training at 15:27 │小ネタ