2013年07月22日

訓練での失敗=生存への教訓

訓練での失敗=生存への教訓
 何事も成功から学べることよりも、失敗から学べることの方が重要です。むしろ成功からは学べることは少ないです。人間(特に大人)は、見ただけ・聞いただけ・読んだだけの内容は数ヶ月経つと殆ど正確に覚えていません。逆に、失敗を犯し・理由を理解し・成功するまでやり遂げるといった、頭と身体の双方を用いて学習した内容は、時間が経過しても「教訓」として残っているものです。

 写真は過去に受講したHRCCコースでの1場面ですが、負傷者の搬送準備に手間取っていたところへ模擬爆弾を喰らったところです。自分は戦闘服の一部が焼け焦げただけで済みましたが、他の訓練生はアンダーアーマーのシャツが溶けて脇腹に火傷を負いました。まさにNo Pain, No Gainです。この様な生の「フィードバック」を得ると、教訓が生涯身体に染み付いて離れなくなります。

 流石に国内には火工品の使用を許可してくれるフィールドがありません。従ってSWTのトレーニングでは、必要に応じて私がダウンレンジ側に陣取って動きや隠れ方の悪い訓練生に向ってBB弾を発射します。ほんの数センチ身体の傾きが悪い、その姿勢では脚をこっちに伸ばした方が良い、などを頭と身体の両方で理解してもらうためです。またそうしたストレス下において訓練することにより、使えるテクニックと使えないテクニックとの取捨選択が出来るようになります。今まで幾つかのDVDを海外の訓練仲間たちとチェックしましたが、実に多くのDVDで「見た目重視」のテクニックが紹介されていることに皆驚かされました。内容を真似したいだけなら文句は言いませんが、リアルなトレーニングが目的であればインストラクターの下でそれらテクニックを「検証」することをお勧めします。

 「教訓」を得た訓練生は、以後のドリルを単に言われた通りにやるのではなく、考えながらやるようになります。もちろんインストラクターとして彼らの考えを正しい方向に導く手伝いはしますが、私はあえて一から十まで面倒を見ることはしません。SWTのトレーニングは「訓練生に考えさせる」スタイルであるからです。最初に述べたように、言われただけでは身に付かないからです。この訓練スタイルでトレーニングすると、訓練終了時には訓練生それぞれが自分なりの「正解」あるいは「正解へのヒント」を見出します。その瞬間、訓練生の表情(特に目)が変わります。何かひらめきを感じた訓練生の表情や精神面の変化(成長)を見ることが、私にとってのインストラクターとして一番やりがいを感じられる瞬間です。



Posted by Shadow Warriors Training at 09:34 │小ネタ