2023年05月21日

特殊作戦部隊員が抱える問題について(1)

特殊作戦部隊員が抱える問題について(1)
 ここ最近、多くの退役した特殊作戦部隊員の戦闘経験や退役に至った経緯などを知る機会がありました。退役するに至る理由としては、手足の断裂など戦闘による負傷や、頻繁過ぎる派遣ローテーションと家庭生活とのバランスを考えた結果など様々でしたが、特徴的であったのが外傷性脳損傷(Traumatic Brain Injury / TBI)でした。

外傷性脳損傷とは交通事故などで外から頭に強い力が加わることで脳の組織が傷つくことによって生じる疾患で、損傷の結果、半身のまひや感覚障害、記憶障害など生涯にわたる障害をもたらします。世界保健機関(WHO)によれば全世界で人口10万人あたり150から300人の患者がいると言われています。

20年に渡った対テロ戦争(GWOT)では通常部隊(Conventional Forces / CF)は勿論、特殊作戦部隊(Special Operations Forces / SOF)が大量投入されましたが、特殊作戦部隊はその任務の性格上、爆撃や爆破などによる衝撃波の影響を通常部隊員より受けやすいことから、外傷性脳損傷を患うリスクが高いと統計でも表れているとのことです。なお、2000年から2021年年でに米軍全体で外傷性脳損傷と診断された患者は 454,000 人に上るとのことです。

(2)へ続く



Posted by Shadow Warriors Training at 23:48 │小ネタ