2022年09月27日

ピストル射撃について(4)

ピストル射撃について(4)
 ピストルを正しく握ることが出来れば、次に必要なステップは正しいドローを身体に染み付けることになります。ピストルを正しく握れただけでは照準は出来ません。また、ドローに無駄があれば握りから照準まで時間が掛かることになります。ピストルドローはただ単にピストルをホルスターから抜いて好きなフォームで構えることではありません。ピストルを握ってから照準・撃発までの時間を短縮しつつ周りの仲間や第3者への安全を確保しながら照準線まで効率的にピストルを持ち上げることがホルスタードローの真髄になります。

 ホルスタードローにおいて最も気を付ける必要がある注意点は、銃口と引き金の管理になります。生存を賭けた射撃において「撃たれる!」との恐怖に支配された場合に撃たれる前に先に撃とうと必然的にトリガーが優先される者は正しい訓練が足りていない証拠であり、理性よりも直観的な動作が勝っている状態です。恐怖の中で無意識的にトリガーフィンガーへの意識が高まると、銃口が敵へ指向されていないにも関わらずトリガーに指が掛かる傾向にあります。本人はその様な認識はしていないものの、周りの者が見れば明白です。確認が必要であれば実証実験としてForce-on-Force訓練を導入してみて下さい。

 では、その様な状況下においても銃口が敵へ指向されていないにも関わらず撃発が起きないのは、射手が意図的にトリガーを最後まで引き切っていないのが理由か?それとも単なる偶然か?本人は前者を主張するでしょうが、実際は後者であることが殆どです。メーカーが意図的にトリガープルをある程度の重さにして銃を設計しているのは理由があり、そのトリガープルの重さによって偶然にもND(Negligent Discharge/射手のミスに起因する誤射)が発生していないだけです。

 上級レベルの訓練ではピストルが身体に近い位置にある状態からトリガーに触れて、腕を伸ばしながら徐々にトリガーに力を加えて撃発させるテクニックもあります。ですが、これはあくまでも訓練環境下における上級レベルの訓練での話しです。必ずしも「撃たれる!」との恐怖心が残念ながら理性を支配する状況下とは異なります。テクニック・ベースの訓練では確かに高い技術力を身に着けることは出来ますが、実戦環境を考慮した訓練を行う際は、テクニックを基準にするのではなく人間の心理的・生理学的な現象を基準にする必要があります。

(5)へ続く



Posted by Shadow Warriors Training at 23:58 │小ネタ