2021年06月27日

タクティカル・トレーニングの先にあるもの(4)

タクティカル・トレーニングの先にあるもの(4)
 もし皆さんが受けたトレーニングが「タクティカル」を名乗っており、ドリルが全て上の写真にあるような撃ち方で行われた場合、そのトレーニングは残念ながら「テクニカル」であって「タクティカル」ではありません。「サバイバルモード」を意識したタクティカル・トレーニングでは、どこの国で受けようが必ずと言っていいほど、片腕が負傷しても戦い続けるために必要なドリルを教えます。当たり前の話ですが、片腕を負傷したからと言って敵はこちらにそれ以上攻撃をしてこない訳ではありませんし、こちらもそれだけでゲームオーバーにはなりません。撃ち合いにおける勝ち負けとは生きるか死ぬかですので、例え片腕が負傷しようともその状況を打破して生き抜くために必要な心構えと戦術と技が教えられていなければ、そのトレーニングは「タクティカル」を名乗る権利はありません。
タクティカル・トレーニングの先にあるもの(4)
 
 更に一歩進めると、不意を突かれた不利な状況から五分五分の大勢へと戻しその後生き抜くために闘い続ける、と言った流れのドリルも組み込まれるべきです。最もよく実施される例としては、組み合った状況から相手を振りほどいて対処するドリルがあります。

タクティカル・トレーニングの先にあるもの(4)
 しかし、この様なドリルは安全管理の問題からどの国の警察や軍隊でもあまり積極的に行われていません。「訓練弾を使えば死傷することはない」と唱える方がいるかも知れませんが、残念ながら死傷リスクはゼロではありません。実際にSimunition FXやUTMやFederal Force-on-Force弾を使ったことがある方は分かると思いますが、訓練環境に実弾が紛れ込むリスクは絶えず潜んでいます。

 つまりインストラクターの数が圧倒的に足りない警察や軍隊の一般的なトレーニング環境では、安全管理に必要な数の目が足りないことと、必ずと言っていいほど説明した通りに物事を行わないアホがいることから、残念ながら毎年どこかの国のどこかの組織で訓練中の事故や殉職は起こっています。

(5)へ続く



Posted by Shadow Warriors Training at 20:34 │トレーニング哲学