2021年05月16日

タクティカル・トレーニングの先にあるもの(1)

タクティカル・トレーニングの先にあるもの(1)
 射撃だけでなく格闘なども含めたタクティカル・トレーニングの先にあるものとは何なのか?今回のシリーズではトレーニングの目的について書いていきたいと思います。

 タクティカル・トレーニングの目的は何であるべきか?単に高い命中精度を求めるだけでは何も得ることは出来ないでしょう。また、様々な射撃姿勢を駆使して複雑な形状のバリケード越しに撃つだけでも何も得ることは出来ないでしょう。また、決められた種類の技を流れる様な動きで早く綺麗にきめるだけでも何も得ることは出来ないでしょう。何故なら、そもそもタクティカル・トレーニングは検定射撃の様に合否を判定することや、格闘検定の様に出来不出来を見極めてその者に応じた技術レベルを判定し与える検定制度とは全く異なる性質を持っています。タクティカル・トレーニングの目的はただ一つ、戦いに勝つための心構え、戦術、技を教えることです。

 ボクシングを例にとってみましょう。ボクサー達は彼らの技術が一定のレベルに達したか否かを確かめる(検定してもらう)ためにトレーニングしている訳ではありません。彼らは試合という名の実戦の場において勝つためにトレーニングをしています。プロとして試合に出る格闘家も同じです。段位を上げることに強いこだわりは持っていません。試合に勝つためにトレーニングを重ねています。

 ですが、タクティカル・トレーニングの世界ではどうでしょうか?巷には格好だけを重視したプログラムや、射撃精度や速度だけを上げることを目的としたプログラムが多く存在します。どこの誰が教えているどのコースかをハッキリと書く事は避けておきますが、上手に撃てるようになることだけが目的であれば、それはトレーニング(訓練)ではなくプラクティス(練習)です。命中精度を上げようとするなら正しい撃ち方を身体に染みつかせれば済む話です。そんなものは誰でも練習すれば出来るようになります。上達しないのは、正しい撃ち方を習っていない(または、覚えていない)からです。

(2)へ続く



Posted by Shadow Warriors Training at 21:43 │トレーニング哲学