2021年04月04日

ルームサーチ/ルームクリアリングについて(3)

ルームサーチ/ルームクリアリングについて(3)
 原則2:全周警戒の維持。
 言わずと知れたことですが、市街地戦や屋内戦では極めて近い距離にて接敵することになります。野戦ではFEBAは数100m先の地形かも知れませんが、市街地戦や屋内戦では数m先の交差点や廊下がFEBAと成り得ます。従って、応戦へのリアクションタイムを極限まで短くするには、必然的に高いレベルの警戒態勢を常に維持しておく必要があります。

 2人しかいない場合は背中合わせに配置してそれぞれが180度以上のエリアをカバーします。180度以下では間隙が出来ますし、180度ピッタリではちょうど中間に存在する脅威に対する責任分担が曖昧になります。よって、オーバーラップは必ず必要であり、オーバーラップした部分にある脅威へは気付いた者が積極的に対応し、掩護の要請があるまではもう一人は即座に逆方向を警戒します。3人以上でも要領は同じで、接敵方向を基準としてフレキシブルに隊形を変えて次の脅威へと対応します。

 互いを信じて互いを掩護することが全周警戒のバックボーンです。これとは逆に、仮に4人組のチームがいたとして4人が同じ方向を見ていては何の意味もありません。4人全員が背後から殺されるだけです。

ルームサーチ/ルームクリアリングについて(3)
 原則3:火力優勢の維持。
 味方の生存率を高めるには脅威を速やかに排除する必要があります。よって、脅威への対応は1丁の銃よりも2丁、2丁よりも3丁の銃で対応することが求められます。しかしながら先に挙げた例の様に、全員が一度に同じ方向に射撃することは部隊の背後の警戒が皆無となります。つまり、2人組は最低限の編成であるものの火力優勢と全周警戒の双方を同時に確立することが困難であることが分かると思います。従って、少なくとも3人組、理想を言えば4人組が市街地戦や屋内戦におけるセルの最低限の編成単位になります。

 人数に余裕がある場合においては脅威への対応の初期段階では2丁以上の銃で対応しますが、状況がコントロール出来次第、速やかに全周警戒態勢へと移行します。敵もアホではありません。複数いれば別方向から攻撃してきます。よって、火力優勢の維持から全周警戒の維持への切り替えのタイミングを怠ると残存する敵に殺されることになりますので、強いリーダーシップを発揮して一点集中から全周警戒へと隊員の目だけでなく気持ちを切り替えさせる必要があります。

 ただし、2人組では攻撃と警戒の両立が困難であると述べましたが、ツーマンセルが完全に否定される訳ではありません。フラッド戦術で用いられるツーマンセルはSpeedとSurpriseの要素が高いことと、接敵時に即座に別のツーマンセルが掩護出来る体制であればViolence of Actionの要素も高くなりますので、有効な編成となります。

(4)へ続く



Posted by Shadow Warriors Training at 22:54 │小ネタ