2020年10月18日

トランスフォーメーション(3)

トランスフォーメーション(3)
 FID(Foreign Internal Defense)はUW(Unconventional Warfare)と対になる作戦ドクトリンです。FIDでは友好国などの軍隊や警察部隊を訓練することで、最終的には米軍部隊と共同作戦を実行できる能力を作り上げることで米軍部隊の負担を減らすことと、平時からの協力体制を構築・維持することで訓練を提供する友好国を友好国のまま維持することが目的です。反面、UWでは現地政府や政府軍を打倒するための組織を一から作り上げることが目的です。

 私が以前一緒に働いていた元陸軍特殊部隊員はベトナム戦争に従軍されていましたが、当時彼はラオスやカンボジアで現地民を組織・訓練し対ベトコン戦に従事されていました。彼曰く、近年のイラクやアフガンでのSpecial ForceはSpecial Forceの専売特許であるUWが活かされていない、と嘆いておられました。

 しかしながら、UWにせよFIDにせよ通訳などを介さずに現地の人々と直接関わることで信頼醸成が図られるのですが、特殊部隊養成コース(SFQC)にて行われる外国語訓練は実はそれほど高いレベルのものではありません。SFQCで実施される外国語訓練は実はレベル1(基礎)であり、Defense Language Instituteで行われるレベル2(中級)やレベル3(上級)には及んでいないのが現状です。一部の特殊部隊員はレベル3に該当する能力を有してはいるのですが、SFQCを終えただけでは到底そのレベルに追い付いていないのが現状です。

トランスフォーメーション(3)
 ここには語学のスペシャリストの養成ではなく、戦闘・戦術のスペシャリストを養成するSFQCの目的が反映された結果なのですが、長期間に及ぶ外国語教育に掛かる費用の問題もあります。因みにそれまでは無かったのですが、FY17(米国会計年度2017)よりJFK特殊作戦学校において日本語コースが開設されています。

 なお、米軍は将来的には1つの語学につきODA1チームにレベル3とレベル2をそれぞれ1名ずつ育てたいとしていますが、それに必要な予算としての推定額は日本円で20億円を超えるとされています。
(4)へ続く



Posted by Shadow Warriors Training at 15:17 │小ネタ