2018年10月08日

CQB戦術、ソロvs.チーム(5)

CQB戦術、ソロvs.チーム(5)
 接敵した際に後退することを良く思わない風潮があるのは事実です。少々の損害を出してでも前進を続けていくことで、全体として攻撃を継続させているイメージに繋がります。しかし、前進しながら損害を出し続ける様であればいずれ消耗し戦えなくなります。

 紙の標的を相手にCQB訓練をした気でいるだけでは、選択肢として後退する訓練を行うことは勿論、後退を選択肢として考えるマインドセットも訓練することは出来ません。CQB訓練は野戦よりも戦況の変化が激しく、また接敵距離も近いことから条件反射に近いレベルの反応や対処能力が求められます。そしてこの対処能力は紙の標的を相手にした訓練では養えません。紙の標的はあくまでも動きや技術といった基礎レベルのものを訓練するためのものであり、戦術を訓練するには自由意思を持った生きた人間を相手にする必要があります。

 自由意思を持った人間を相手に訓練弾を用いて撃ち合う訓練を経験すると、必ずしも前進を続けることが正しいと限らないことが体験として理解出来ます。一時的な後退は目標達成を遅らせることになるかも知れませんが、損害を食い止められるのであれば機は残ります。撃つことと撃たれないことと、生き延びるためにはどちらが重要か?この選択を誤ると、目標達成を焦るあまり必要以上に損害を生じさせ、結果として損害を出し過ぎたことで作戦目標を達成出来ずに終わることになりかねません。

 敵戦力の撃滅が作戦目標である場合、その目標は変わることはありません。少々の損害を出してでも突き進むのか、それとも危うければ一度下がって別の戦法や方向から戦うことを選択するかは目標を達成するための手段に過ぎません。目標に固執するあまり臨機応変に手段を選べなくなってしまっては、目標の達成はより難しくなります。そしてこの臨機応変さを身に付けるには生きた人間を相手としたForce-on-Force訓練が必要です。それを経験することで、初めてマインドセットの意味を理解することが出来ます。

終わり



Posted by Shadow Warriors Training at 23:45 │小ネタ