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Posted by ミリタリーブログ at

2015年09月27日

ポリス・スナイパー(1)


 アメリカの警察狙撃手による射距離などのデータを紹介したいと思います。American Sniper Associationという名の民間第3者機関が20年間に起きた200件を超える事件記録や報告書を基にしたり、実際に出動した狙撃手本人から聞き取りを行うなどして、様々なデータを出しています。

 それによると、平均射距離は51ヤード(約46メートル)程度であったそうです。統計の基となった事件の95%は射距離が100ヤード以内であり、2.5%は100から150ヤード、同じく2.5%は150から250ヤードであったそうです。また使用された狙撃銃の口径は、.308が74%を占め、残りの26%は.223や30-30ウィンチェスターや.270ウィンチェスターであったようです。

 また、一般に思われていたのとは反対に、撃たれた犯人の約半数はヘッドショットを喰らっており、狙撃手の放った弾の80%は致死性の傷を負わせたとのデータが出ています。事件の性質としては、34%は単独での立て籠もり、36%は人質立てこもり、21%は自殺志願者であったようです。

 更に、45%は低照度環境下における射撃であり、90%の狙撃が犯人の頭部や身体を貫通していたそうです。そして最も狙撃手にとって厄介なガラスなどの障害物越しの狙撃は全体の23%にも及んだようです。軍隊の狙撃手との大きな違いとしては、2名以上の狙撃手で単独の犯人に対して発砲した案件はあるものの、1人の狙撃手が複数の犯人に対して発砲した案件は統計の基となった200件以上の事件にはなかったようです。

 次回はこららデータを基にした訓練プログラムの構築について書いていきます。  

Posted by Shadow Warriors Training at 21:35小ネタ

2015年09月13日

バックライティングとは?


 先ずは上の写真をご覧下さい。これから始まる夜間作戦に向けて、機関銃手が射撃姿勢を取っている様子です。夕暮れの美しいグラデーションと兵士のシルエットとのコントラストが非常に「絵になる」感じで、広報写真としては逸品ものです。

 そう、「広報写真」としてはです。このシルエットの浮き上がりは、ローライト用語でバックライティング(Backlighting)と呼ばれています。要は相手(敵)から見て、自身の姿が自分の後方にある光源によって浮き上がることで存在を露呈している状態や現象のことです。夜間や低照度環境下では対象物の色や詳細は肉眼では判別し難いです。しかし、輪郭さえ分かれば標的として認識は可能です。そして味方全員の位置が分かっていて、認識した輪郭(シルエット)が味方の位置になければ・・・敵と判断して射撃することが可能となります。

 従って、特に夜間や低照度環境下では自分が持っているライト以外の光源の存在を気にする必要があります。その光源が自然光など人の力ではどうしようもない場合は、自分より大きな何かを自分の背後に置くことで自分自身のシルエットを浮き上がらせないように工夫する必要があります。

 稜線を超える際に立ったままの状態で動くといわゆる空際線上の飛び出しが起こりますが、これと同じ原理です。となると、日中は反斜面側が敵から姿が見えず比較的安全な位置であるかと言えますが、夜間は斜面の影を上手く使えば敵方斜面側でも姿を隠すには十分であると言えます。この辺りはFOや狙撃手の方々は十分お分かりであるかと思います。ただし、現代戦では光学機器の発達が著しいですので絶対的な保障はありませんが、少なくとも「肉眼」を誤魔化すには十分使えるテクニックです。

 ローライト戦術にご興味のある方は、是非こちらからご連絡下さい。  

Posted by Shadow Warriors Training at 09:51小ネタ

2015年09月06日

PSD車両について


 過去の訓練で得た知識と技術を、それらを必要とされる現職の方々に教えることを仕事としていますが、残念ながら国内では実施出来ない訓練もあります。そのうちの1つが移動をメインとする車両戦術訓練です。アメリカの田舎町では地元警察と訓練学校との間で「密約」がありますので大きな問題になりませんが、流石に日本国内ではそうはいきません。今後は講習会などの形でフィードバックして行こうかと考えていますが、今回は小ネタとして1つだけ紹介したいと思います。

 上の写真はイラクでよく見られた典型的なPSDチームの車両ですが、この車両には1つ大きな戦術的間違いがあります。お判りになりますでしょうか?正解は牽引用のストラップです。仲間の車や自分の車が走行不能に陥った際に、1秒でも早く危険地帯から抜け出すために、予め牽引用ストラップを装着しておくことは正しいことです。問題はそれをどの様に準備しておくのかです。

 この車両の場合、ストラップを展開させるためには後部ハッチを開ける必要がありますが、後部ハッチを開けることで乗員が剥き出しの状態になります。これがこの車両の問題点です。確かに後部ハッチ程度は簡単に銃弾が貫通しますが、何も他にないのであればそれを使わざるを得ません。また、大抵の場合は砂袋を積み上げて簡易的な防弾(正しくは対破片)処理を施しますが、写真の車両の場合はストラップを展開させるためにハッチを開いて砂袋を除けるといった行為が必要となり、結果として乗員をより危険に晒すことに繋がります。


 警護用車両は最近はSUVが主流です。従来は相手から見つかり難い、地域社会に溶け込みやすい一般的なセダン車などが用いられていましたが、どうせ見つかって追撃戦をするなら武器や医療キットを置いておくスペースが十分にあるSUVが有効とのトレンドでしょう。ただし、加速性や運動性はセダン車の方が上ですので、車両を調達する前に警護ルートや途中のう回路などを入念に調べて、任務に最も適切な車両タイプを見極めることが重要です。

 また、この様な警護専門車両はメーカーが足回りをチューンナップしていますので問題ないのですが、特攻野郎Aチームの真似をして鉄板などを溶接して防弾効果を高めることは、ハンドル操作やブレーキ性能が追加装甲分の重さに追いつけませんので動けない・止まれないと事故の基になります。


 どうせ敵に存在がバレるなら、最初から火力の高い車両も用意したいです。このドイツ軍憲兵隊のフォルクスワーゲンは個人的には好きです、特に色が。日本ならト〇タやミ〇ビシですかね?でも自衛隊に納入するならコ〇ツでしょうか?


 まあ、完全に個人の趣味で良いのなら、私はこれが最高に好きですが。ジークジ〇ン!  

Posted by Shadow Warriors Training at 21:54小ネタ