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Posted by ミリタリーブログ at

2014年07月26日

実戦的訓練とは?


 当スクールのプロ用コースでは「銃を用いた戦い方」を教えています。参加者は公務員などのプロの方々で既に基本的な銃の撃ち方や取扱いはマスターされているものの、在職中に遭遇する確率は極めて低いかも知れない「究極の状況」に遭遇した場合の生存方法を模索している、言わば実戦的なトレーニングに飢えた方々です。

 この様な方々に教えるには、単に楽しめたり、高度なテクニックを要するドリルだけを実施するだけではニーズに応えたことにはなりません。訓練プログラムは、彼らが遭遇し得る状況を想定した「最新かつ現実的で、関連性のある」ものである必要があります。これは遭遇し得る相手(敵)の戦術など(TTP: Tactics, Training, Procedure)を研究して導き出す方法もあれば、現実の事象を統計的に研究して導き出す方法もあります。

 最も分かり易い例としては、射撃の距離です。一昔前は拳銃の検定射撃と言えば25メートル(又は25ヤード)先の的の中心にいかに着弾させられるかが問われていました。「実戦的」と言われる検定で人型標的を用いたものでも同様の距離で実施されており、中には25メートル(又は25ヤード)以上の距離で実施されるものもありました。しかしながら、現実の射撃、特に警察官が遭遇する状況はそうではなく、極めて近い距離で撃ち合いが行われています。

 アメリカの統計の話ですが、警察官が銃を持った被疑者に撃ち殺された案件をFBI(米連邦捜査局)が毎年統計化しています。過去10年の統計から見られる数値ですが、案件の約47%が1.5メートル以内、約17%が1.5メートル以上3.0メートル以内、そして約14%が3.0メートル以上6.0メートル以内で発生しています。つまり、およそ80%が6メートル以内で発生していることになり、旧態依然の25メートル(ヤード)射撃が如何に現実離れしているかが分かります。

 これを鑑みてFBIは2013年1月に検定射撃の内容を大幅に改良し、「最新かつ現実的で、関連性のある」内容に近づけました。それまでの検定射撃では全50発のうち半数以上を15~25ヤードの距離で撃っていたことに対し、新しい検定射撃では全60発のうち40発を3~7ヤードの距離で撃つようになりました。また、新しい検定射撃ではジャケットの下に隠したホルスターから抜くことが求められています。この動きは全米の各レベルの警察機構に浸透しつつあり(一部ではFBIよりも前に現実的な内容に改変されています)、距離に応じた時間制限や片手射ちなど、更に「最新かつ現実的で、関連性のある」ものに変わってきています。

 我が国の警察でも私が在職していた頃から若干検定射撃(けん銃技能検定)の内容が変わりましたが、それでもまだまだ「実戦的」とは呼べない内容です。欲を言えば「走って被疑者を追いかけた末に格闘にもつれ込み、被疑者が隠匿していた武器で攻撃してきたので指示・警告の後に射撃」といった内容を反映した検定項目があれば良いのですが...

 その様な「最新かつ現実的で、関連性のある」実戦的トレーニングが職場で出来ない方々のためにSWTは存在します。移動間射撃、複数標的に対する射撃や、障害物を避けて撃つ方法などを始め、ペアやチームでの射撃・移動・連携なども教えています。全国どこへでも出張しますので、ご興味をお持ちの方は是非一度ご連絡下さい。  

Posted by Shadow Warriors Training at 22:39小ネタ

2014年07月23日

モチベーションと温度差


 さて、昨日で臨時休業期間が終了し、本日より平常どおりに活動を再開しております。海外にトレーニングを受けに行っていた訳ではありません。遊びに行っていた訳でもありません。「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託にこたえる」ために、最低限必要な訓練に出頭していただけです。

 普段は人にものを教える立場にあることから、初心に戻って「学ぶ側」の立場に立つことができ、最初のうちは新鮮でした。しかし、やはり癖なのか習慣なのか、人の教え方には無意識に注意を注いでしまいます。話し方、話のまとめ方、LP(レッスンプラン)の組み立て方、フォローの仕方、などなど、どうしても気になってしまい、結果として普段の自分の教え方がどうなのかを客観的に見直す良い機会になりました。

 まあ、個人的には最低でも年間20日は必要であると考えますが、そうすると仕事の関係で出頭率と継続率が低下するでしょう。それが出来ないから個人で海外に訓練を受けに行くのですが、行けば行くほど周りとの温度差が開いてしまいます...なんせ現職でも受けていないタイプの訓練を受けていますから...

 と言うことでSWTは、周りとの温度差をネガティブに捉えることなく高いモチベーションを維持し続けるプロの方々を、引き続き全力でサポートして参ります。  

Posted by Shadow Warriors Training at 21:32小ネタ

2014年07月11日

どうなるM9ピストル?


 さて、米軍ではM9ピストルに代わる新型拳銃(Modular Handgun System / MHS)への切り替えプロジェクトが再び勢いづいており、今月29日に銃器メーカー等を集めて詳細の発表を行うとのことです。M9は1989年に正式採用されたものの既に25年が経過しており、現代の戦闘環境にマッチしなくなってきたところも大きいようです。それを考えると89式小銃も・・・海空では64式やし・・・

 採用当初はスライドとロッキング・ブロックに強度上の問題があり、金属疲労によりスライドに亀裂が入って射撃中にスライドの後端部が射手の顔面に当たった等などのトラブル続きの銃でした。改良されて以降は問題なく機能する銃として米軍のサイドアームの座を守っていました。近年は一部部隊にSIG社製のM11ピストルが配布されていますが、今回のMHSはM9をターゲットとしている様で、M11がどうなるかは現段階では不明です。

 因みに「どこ」かは明言出来ませんが、在日米軍の一部の部隊ではM11が使われています。また、別の部隊ではS&W40口径を用いる銃が使われています。そこのあんた、個別にメールで「どこですか?」とか聞いてきてもアカンで。 If I tell you, I have to kill you...

 新型拳銃に求められているスペックとしては、命中精度、両利き用、人間工学的デザイン、アクセサリー(ライト、レーザーなど)の選択肢、堅牢性(耐用弾数35,000発)などが挙げられていますが、口径については未発表です。耐用弾数35,000発と言えば、日本ではとてつもない数に聞こえます。仮に毎年の検定射撃で50発撃ったとしても、700年使える計算ですから。しかし、実戦的訓練を行えば35,000発なんてあっという間です。逆に言えば故障や破損しても良い訓練用の銃を備えておき、壊れるぐらいまで訓練しなければ意味がありません。

 なお話はそれますが、米国本土のスクールでは1日あたり500発程度を撃つことは珍しくありません(コースによっては1,000発に達します)。逆に言えば、私の経験上ですが、米国本土において1日あたりの弾数が200発にも満たないスクールは教える内容が無い証拠です。そういったスクールでは、空撃ちで何度も何度も同じことを練習し、飽きてきたころにようやく実射を行います。

 今後このMHSがどういった方向に進むのか引き続きウォッチしていきたいですが、個人的にはやはりグロックを推したいです。ただ、グロックは工場出荷時になぜか樹脂製のサイトが乗っているので、金属製のコンバットサイト(XSサイトを推します)に付け替える必要がありますが。  

Posted by Shadow Warriors Training at 21:57小ネタ

2014年07月08日

戦闘衛生コース受付開始します!


 え~、大変長らくお待たせ致しました。まだかまだかと言われ続け、ようやくプロ用コースに戦闘衛生コースが追加できました。

 レベル1とレベル2からなります。レベル1はご自宅や貸会議室などでも実施可能ですが、レベル2はフィールドなどが望ましいです。また、お手持ちの医療キットがあればご持参をお願いしますが、基本的に訓練用キットは全てこちらで用意致します。あまり時間的余裕がありませんが、今週末分から予約を受け付けますので、よろしくお願いします。詳しくはこちらをどうぞ。
 なお、この戦闘衛生コースでは、当スクールが規程する「プロ」の職業の方がたに加えて現職の消防官も含むものとします。


 また、高騰を続けるガソリン代とレンタカー代に鑑みまして、出張費のエリア区分・金額・割引適用条件を変更しました。詳しくはこちらをどうぞ。  

Posted by Shadow Warriors Training at 23:47お知らせ

2014年07月05日

コミュニケーションの重要性


 戦闘(銃撃戦)時の3大行動は射撃(shoot)、運動(move)、連携(communicate)であるとクラスでは教えていますが、その中でもコミュニケーションは最も重要な側面ではあるものの、最も脆いものです。

 全く訓練を受けていない物は、何も出来ずにやられます。ある程度訓練された者は、射撃(応戦)することは出来ますがその段階で精一杯です。そこそこ訓練を受けた者は、射撃と運動を駆使して敵より戦術的優位に立つことが出来ます。しかし、ここまではあくまでも個人レベルでの戦術であり、チームレベルでの訓練を疎かにしているとイザという局面で連携が上手く行きません。

 チーム内でのコミュニケーションや、チーム間でのコミュニケーションは一朝一夕にマスター出来るものではありません。上達するには何度も繰り返して訓練するしかありません。使う用語や言い方にも注意する必要があります。シンプルかつ分かり易くが基本原則です。何故なら、銃声や爆音などの騒音の中で、確実にメッセージが伝わらなければ意味がないからです。また、戦闘時のアドレナリンの噴出によって聴覚情報が入りにくいことも考慮する必要があります。

 コミュニケーションはキャッチボールです。伝える側が一方的にメッセージを送るだけでは誰も内容を共有出来ません。受ける側との間で誤解なく同じ意味を共有出来ることで、初めて意思の疎通が可能となります。皆さんの周りにも1人でギャーギャー喚いているだけで、言っていることが誰の耳にも届いていないタイプの人がいるのではないでしょうか?それは「伝える相手」、「伝える内容」、そして「伝え方」が間違っていることが主な原因です。強いて言えば、「伝えるタイミング」を間違っていることもあります。

 先に述べたように、射撃と運動は個人レベルでの問題です。部隊レベルでは「チームワーク」が必要となり、その要素の1つが「コミュニケーション」となります。

 なお、写真は米陸軍JFK-SWCSで通信訓練中の兵士(選抜課程中)です。  

Posted by Shadow Warriors Training at 11:46小ネタ