スポンサーサイト


上記の広告は1ヶ月以上記事の更新がないブログに表示されます。
新しい記事を書くことで、こちらの広告の表示を消すことができます。  
Posted by ミリタリーブログ at

2014年03月28日

SATマガジン記事への補足(3)


 SATマガジンに掲載中のWDCですが、とりあえず第5弾で戦闘衛生については一旦終わります。本当は4回目で終わる予定だったのですが、誌面刷新に伴う字数制限の変更で、5回目まで持ち越してしまいました。

 はっきり言って、趣味でエアガンで遊ばれている読者の方々には私の記事は全くもって必要の無い知識であり、それよりも装備や銃の記事の方に興味があると思います。それは十分理解しています。そもそも、WDC(このブログも含めて)は現職の方々を対象に書き始めたものであり、サバゲではなく実銃での撃ち合いを意識して書いています。

 戦闘衛生は病院での医療行為とは少しコンセプトが異なります。それよりも災害現場での救急医療(特に集団外傷事案におけるトリアージ)に近いです。病院では全ての要救護者に手を差し伸べますが、戦闘衛生では手を差し伸べても無理な要救護者は時として切り捨てます。残酷なように聞こえますが、「助けたい命」が「助かる命」とイコールとは決してならないからです。「助けたい命」の中には、「助けられる命」と「助からない命」の2つがありますが、極限の環境において限られた人員と医療キットしかない状況では前者を救うことがやっとです。

 もともとTCCCのコンセプトは、戦場における負傷者の中で前出の「助けられる命」にフォーカスしたものです。手助けをしていれば助かったはずの命(preventable death)を救うのがCombat Lifesaverの使命です。その状況で出来る限りのことをやり尽す。それがCLSの真骨頂と言えます。最後に、軍医として先駆者的な存在であったDr.ニコラス・セン(1844-1908、米陸軍従軍時の階級は中佐)が1898年に残した言葉を紹介しますので参考として下さい。

 「負傷者の運命は、その者を最初に手当てした人物の手に委ねられている。」

 WDC第6弾からはコンバット・シューティングのテクニックなどについて解説していきます。もちろん実銃目線ですのでエアガンユーザーの参考になるかはビミョーなところですが、編集局からNGが出るまでは書き続ける予定です。  

Posted by Shadow Warriors Training at 20:34小ネタ

2014年03月26日

ロー・ライト(3)


 このトピックについて、最後に少しだけ。

 射撃時には昼夜を問わず頻繁に場所を移動する必要があります。ビデオゲームでは同じ場所に留まって撃ち続けられますが、現実はそうではありません。自分が銃を撃てるのは何故か?それは敵の姿が見えるからです。それを逆の目線で考えて下さい。自分から敵の姿が見えるという事は、つまり敵からも自分の姿が見えることになります。完璧な偽装を施して敵に気付かれていないとしても、一発発射すれば存在は露呈し、敵の銃火に晒されます。

 では夜間はライトを消せば存在を消せなくても、誤魔化すことは出来るのでは?出来るかも知れません。しかし再度その位置から撃つとなると、物理的に不可能な場合があります。エアガンと実銃の大きな違いの一つは消炎(ブラスト)です。昼間は頭上からの太陽光が強いので、ブラストで巻き上げられた塵や埃の影響をあまり受けることなく標的を視認することが可能です。しかし夜間では、強い光源は自分の目線と変わらない位置にあるライトしかありません。プローンで射撃をする際にブラストで塵や埃が巻き上がると、それらが全て眼前でスクリーンの様にライトの光で照らし出されます。分かりやすく例えるなら、濃い霧にヘッドライトの光が反射してその先が見えない状態になるのと同じです。

 よって、特にプローンでの射撃を伴うロー・ライト戦術では、射撃→移動を昼間よりも意識して頻繁に行う必要があります。また、その際の最大の注意点ですが、射撃と移動の間にライトを消すことを忘れないことです。点けたまま移動すれば、相手に行先を伝えることになります。これが「消したい時に直ぐ消せないでは命取りになる」の一例です。

 因みに私は、Night-Opsのグラディウス(90ルーメン)を手持ち用、SurefireのG2X(200ルーメン)を小銃用(ボディーが樹脂製のため、実銃との使用時には耐熱処理を施す必要があります)として使っています。あとバックアップが1本(ストライク・ベゼル付)と、ヘッドランプが1つと、小出力ライトが1本。ケムライトも含めると、光源だらけですな...  

Posted by Shadow Warriors Training at 21:05小ネタ

2014年03月21日

ロー・ライト(2)

 いやいや、それやったら結局どんなライトがええんか分からんやんか?との意見もあるでしょうから、参考までにもう少し書きます。

 自前で買うなら、お勧めはSurefire、Streamlight、Insightが良いかと思います。耐衝撃(リコイル)性に優れた回路を有しており、長年のタクティカル・ライト製造に関するノウハウを有しています。一般的にはボディーの後端部にスイッチのあるタイプ(写真上・Surefire)と、首の辺りにスイッチのあるタイプ(写真下・Streamlight)がありますが、どちらでもOKです。




 官品と同じタイプのスイッチしか規則によって使えない場合もありますので、スイッチの場所に関しては両タイプともOKです。近年のロー・ライト射撃では前出のタイプのライトを用いたやり方が主流ですが、その様なライトが市場に出回る以前では後出のタイプのライトを用いたやり方が存在しました。後出のタイプのライトしかない場合は、それら一昔前のやり方を用いれば良いだけです。

 明るさに関しても最低でも60ルーメンあればOKです。「明るければ明るい方が良い」という訳ではありません。使用する環境によっては明る過ぎることが問題になる場合もあります。単に明るさにこだわるよりも、照射時間を検討すべきです。

 ただ絶対に譲れない要素もあります。それは防水仕様であること、そして、間欠点灯スイッチを備えていることです。間欠点灯スイッチとは、押している間だけ点灯するタイプ(離すと消灯)のものを言います。押すと「カチッ」と音がする常時点灯タイプは戦術向きではありません。前にも書いたとおり、点けたい時に直ぐに点かないだけでなく、消したいときに直ぐに消せないと命取りになります。

 SWTのロー・ライトを受けたい方は、とりあえず手持ちのライトをご持参下さい。わざわざ新しく買う必要はありません。コースの中でどんなライトがプロの現場で必要か「じっくり&こってり」レクチャーしますので、それを参考に受講後に購入されることをお勧めします。

 最後に、ベゼル部にスパイクが付いているタイプのライトを打撃武器として使用する際には注意が必要です。スパイクで殴った際に相手が出血した場合は返り血を浴びることになりますが、血液感染症の危険性を考慮したことはありますか?物体の破壊に用いるには有用なオプションですが、人体に対し使用する場合は諸刃の剣であることを理解しておいて下さい。  

Posted by Shadow Warriors Training at 21:42小ネタ

2014年03月18日

ロー・ライト


 前回のFR1でライトについて質問がありました。時間の都合上、極めて簡単に答えるだけしか出来ませんでしたが、おそらくどの国のどの部隊でも、やらなければと解ってはいても時間をかけていないトレーニングと言えばロー・ライト(低照度)訓練だと思いますので、手短に書きたいと思います。

 昼夜を徹して訓練できる環境があれば別ですが、自衛官、警察官、海上保安官の大部分はサラリーマンと同じ時間帯で仕事(訓練)をしていますので、当然のことならがその間太陽は昇っています。1日のスケジュールを昼夜逆転させるか、低照度環境を造れるインドア訓練施設がない限り、残念ながら積極的にロー・ライト訓練を実施するには至らないのが現実です。

 市場にはありとあらゆる商品が出回っていますが、全てが使い物になるとは言えません。また、官公庁では基本的には官品を使うのが基本であることから、レールシステムなどを勝手に取り付けることは出来ません。また、残念ながら官品のライトは戦術的運用には不向きです。となれば、出来るだけコストを掛けずに個人で手に入れることができ、しかも官品を「改造」することなく使用できるライト(及びアクセサリー)が必要になります。

 そこで重要なのは巷にあふれる新商品に惑わされないことです。フラッシュライトの技術も日進月歩ですが、だからといって「最新型」が最適とは限らないのです。戦術用フラッシュライトに必要な要件をここで列記するのは避けますが、その中の1つに「堅牢性」があります。この堅牢性は「対衝撃性」だけでなく「耐熱性」も含みます。

 ライフルに取り付ける場合は銃口の側に取り付けることになります。たった数発しか撃たないのであれば影響はほぼ皆無ですが、数十発~を撃つとなると銃身からの熱の影響をモロに受けます。



 上の写真は私の仲間が買った某メーカーの新型ライトです。樹脂製のボディーが銃身からの熱に負けて溶けてしまいました。回転式の切り替えスイッチが溶着してしまい、消灯できなくなってしまいました。フラッシュライトを使用する際にはこの様な影響を十分に考慮する必要があります。樹脂製が悪いと言っている訳ではありません。樹脂製の場合はそれなりの対策(耐熱措置)が必要であると言っているのです。

 エアガンと使うだけならどんなフラッシュライトでも構いません。しかし実銃と使う必要がある公務員にとっては死活問題です。低照度環境では銃以外にライトに自らの命を預けることになりますので。点けたい時に点かない、消したい時に消えないでは命が幾つあっても足りません。公務員の皆様は今一度お持ちのフラッシュライトの特性と限界を理解して下さい。  

Posted by Shadow Warriors Training at 16:53小ネタ