2017年02月07日

リーダーシップとトレーニングについて(1)

リーダーシップとトレーニングについて(1)
 トレーニングとリーダーシップには密接な関係性があります。ひとりの受けてとして訓練に参加しているとあまり気付かないことかも知れませんが、リーダーの立場に立つとその関係を痛感することになります。また、リーダーの立場にはないがトレーニングの内容やあり方について模索している人にとっては、自身のトレーニングへの考え方が他に伝わらないことや既存のリーダーのトレーニングに対する考え方・やり方にもどかしく感じたりしているかと思います。

 これまでSWTでは、一般隊員から中堅隊員、そして初級幹部に至るまで多くの警察官・自衛官の方々にトレーニングを受けて頂きましたが、全員に共通して言えるのはトレーニングに前向きで、新しい内容に貪欲であるという事です。ただ同時に、所属する部隊でのトレーニングのやり方に疑問を感じていたり、内容ややり方に試行錯誤を繰り返されていることが見受けられます。そこで、リーダーやインストラクターを養成する様な大それたことは私には出来ませんので、もしかすると為になるかも知れないSWT的リーダーシップ論・教育論を述べさせて頂きたいと思います。

 先ずは、リーダーシップとトレーニングの関係性について。必ずしもリーダーが全てのトレーニングを担当する必要はありません。リーダーシップの数ある重要な要素の1つに委任(Delegation)があります。隊歴の長い隊員や曹などは実体験が豊富であり、良いコーチやインストラクターに成り得ることがあります。そこで彼らに専門分野を任せることでより内容の深いことを全体に伝えることが期待出来ますが、問題はその内容と個々の素質です。リーダーは彼らの素質を分析し、人に物事を教えることが出来る人物かを見極めることが要求されます。人に物事を教えるに相応しい人物とは、一言で説明するのは難しいですが、強いて表すなら規律と研鑽と自己批判のバランスがとれた人物が該当すると思います。規律とは自らを律して口だけでなく行動によって他に見本を示すことであり、研鑽とは絶えず努力を怠らず知識と技術の維持と向上に努めることであり、自己批判とは自らの弱点を把握してその短所の克服に努めることです。

 リーダーはその様な人物を見つけ出すか、訓練して作り上げることで、自らの分身として部隊のトレーニングを任せられる存在へと教育することが求められます。何故なら、彼らが豊富な知識と経験を有するだけでなく、リーダー自身が全てを担当するのは物理的にも不可能であるからです。人選が済めば次の段階は訓練/教育内容の確認と内容の統一化に努めます。トレーニングはその内容が最新の事象に関連しているか?自分たちの置かれた状況や法的根拠、能力などに沿っているか?自分たちが遭遇し得る現実的な状況を想定しているか?の3点を満たしている必要があります。よってリーダーは実際に部下にトレーニングを任せる前に、その内容をチェックし必要であれば修正する必要があります。これを怠ると、全くもって関連性も現実性もない内容の「お遊び」に部隊を付き合わせることになってしまいます。
(2)へ続く



Posted by Shadow Warriors Training at 23:10 │トレーニング哲学