2016年12月12日

PSD訓練(1)

PSD訓練(1)
 10年以上前にアメリカのとあるPMCの一員としてアフリカでPSDとして派遣されるために海外で本格的な射撃・戦術訓練を受けたのが全ての始まりでした。結局現地の情勢があまりにも悪化したことから警護対象が全て撤退してしまい、その為にPSDとしての派遣もなくなりましたが。その後も継続的に海外で実戦的な訓練を受け続けていることから、PSD訓練を施して欲しいとの依頼もたまに受けます。

 PSD訓練を提供するのは可能なのですが、PSD訓練に興味のある方はPSDのごく一部分しか見ていない傾向にあります。彼らは一様に射撃しながらの警護対象者の防護しか考えていない様ですが、実際にはPSDチームは1発も撃つことも撃たれることもなく警護対象者を移動させることに全力を注ぎます。応戦は最悪の状況下で採られる戦術であり、実際問題その様な状況では生存率は50%です。またPSD訓練は戦術訓練ですので、そこで必要とされるハイレベルな射撃技術はそれまでに身に付けている必要があります。

 因みに上の写真はネット上から拝借したものですが、皆さんの目にはどう移りますか?

 どこの誰がネットに挙げた写真か知りませんが、ハッキリ言えるのは、これはプロモーションの一環で撮影されたものです。それも本格的なPSD訓練ではありません。プライベートジェットから直ぐにリムジンに警護対象者を乗せていない点だけでなく、この写真には本物のPSDチームに必要不可欠なものが写っていません。それは、AIC(Agent In Charge)です。AICは軽装備で警護対象者の直ぐ斜め後ろに位置し、チーム全体を指揮しながら警護対象者の誘導を任務の1つとします。このAICなしでは万が一攻撃を受けた際に、警護対象者とPSDチームの動きがバラバラになってしまい、結果的に警護対象者を見殺すことに繋がります。

 応戦時に射撃(Shoot)と移動(Move)は誰でも出来ます。ただし、チームとして対象者を護るといった任務を果たす為には先の個人技である2つだけではチームワークが発揮されません。そこに連携(Communicate)がなければ、皆がバラバラになります。そしてPSDチームでこの一番重要なCommunicationを司るのが、AICになります。



Posted by Shadow Warriors Training at 00:25 │小ネタ