2016年05月15日

羽田空港に犬侵入:SWT的考察

羽田空港に犬侵入:SWT的考察
 先日羽田空港の滑走路に4匹の犬が侵入し、空港当局が捕獲に手こずっていたとのニュースがありましたが、単なる野良犬が空港の敷地内に侵入したと見る一般的な見方から角度を変えた考察を述べたいと思います。

 先ず言えるのは、警備態勢の問題です。野良犬が侵入出来る警備上の「穴」が存在したことが事実ですが、犬が侵入可能な隙間はもう少しだけ広げれば人間も通れます。肉眼で犬の存在が敷地内で確認されたことで初めて犬の侵入が発覚したのであれば、警備はフェンスなどの1重しか存在せず、センサーなどによる2重の構えが存在しなかったのか、センサーが感知出来ていなかったことになります。

 壁やフェンスを造ることだけでは侵入が完全に阻止出来る訳ではないものの、残念ながら上層部も警備要員もそこを突破される可能性を低く見積もってしまいます。そこで人が常時警戒出来ない部分はセンサーなどの機械を用いて人の目を補うことをしますが、所詮機械ですので故障や誤作動を起こします。この故障や誤作動は非常に厄介で、警備要員にとって「狼少年」的な存在となりますので、心の隙を作る原因となります。仮に今回センサーが感知していたとして、現場の確認がされていなかったのであれば、構造的な問題だけでなく人的な問題も発生していたことになります。

 ここまでは誰でも言える事ですし、警備経験者であればこのセンサーによる「狼少年」問題はよくお判り頂けると思います。ですが対テロ警備の目線から言うと、今回侵入した犬が本当に野良犬だったのかが気になります。サミットやオリンピックが近付いているこの時期にこの「事件」が起きたのは対テロ警備の目線からは非常に気になります。と言うのも、警備の構造上や人的な「穴」を探るために、誰かが意図的に空港近くに犬を放った疑いがあるからです。流石に人間が突破すると大事になりその後の警備態勢が厳格なものになりますが、犬が犯人と結論付けられた場合はそれほど人や金をつぎ込んだ警備態勢の強化はされません。何らかの目的を持った連中がこのことを理解した上で、日本の首都にある国際空港の外周警戒態勢を探るために今回の「事件」を起こしたのであれば、野良犬を捕獲しただけでは解決されません。

 テロは精神異常者などによる突発的な犯行とは異なり、明確な目的と計画を持って実行されます。その成功の為にテロリストは下見を含めた入念な計画を行いますが、その1つの方法として「模擬攻撃」を仕掛けます。警備側の能力を試すために、わざと突破するフリをしたり、爆発物らしき物を設置したりと、あらゆる方法を用いて警備の隙やパターンを探そうとします。犬4匹の発見から捕獲までに要した時間がテロリストに与えられていた場合、その間にどれだけの破壊や殺戮が可能であったのかを想像して下さい。

 もし今回の4匹の犬の侵入が、当局の対応のスピードや能力を試すために意図的に行われたことであったとすれば・・・非常に恐ろしいことです。

 *このブログは不特定多数の者の目に触れることから、具体的な対策などについての言及は避けさせて頂きます。



Posted by Shadow Warriors Training at 23:51 │小ネタ