2016年05月01日

車は遮蔽物にあらず(1)

車は遮蔽物にあらず(1)
 映画やドラマなどでは車を遮蔽物として使用しているシーンがよく見られますが、実戦で車は遮蔽物として使用出来るのでしょうか?結論から言えば、NOです。車は遮蔽物としては使い物になりません。「〇〇口径までなら一般車でも食い止める」、「エンジンブロックなら小銃弾でも止める」など、出所が不正確なネットの情報などを頼りにこの件については色々な意見が飛び交うでしょう。もし、「車は遮蔽物として使い物にならない」と唱える私にチャレンジしたい人が居れば、逆に質問させて頂きます。実際に実銃で車を撃った経験はありますか?

 車は金属の塊ではありません。板状に成形された金属やプラスチックなどが幾重にも重なっただけの構造物です。燃費の向上のために、近年では更なる軽量化が図られ、昔に比べて金属製部品が使用される比率は年々低くなってきています。自動車関係の仕事に就かれている方は構造をよくお判りでしょうが、シャーシは頑丈な金属製ですが、ボディーは薄い板から出来ています。よって、アメ車であろうが日本車であろうが、フェンダー、ドア、ボンネット、屋根はいとも簡単に拳銃弾でも貫通します。従って、ドアを盾代わりにして射撃するような真似は現実世界ではあり得ません。例え防弾仕様に改造してあっても、足が丸見えですので、全く意味がありません。私が敵なら喜んで足を撃ちます。防弾仕様車ならドアを閉じた状態が一番頑丈ですので、あえて車を止めてドアをあけて射撃するようなアホな真似はせず、アクセルを吹かして危険地帯から走り去れば良いだけの話です。

 では車が走行不能に陥ったら降車して車そのものを遮蔽物として使うのか?だだっ広い場所で他に身を隠す場所が無ければ致し方ありません。少しでも身を隠すために車の陰に入るしかありません。ただし、「陰に入る」=「身を守る」ではありません。ここで言う「陰に入る」とは、「隠蔽物の陰に入る」という意味です。決して「遮蔽物の陰に入る」訳ではありません。
(2)へ続く



Posted by Shadow Warriors Training at 23:20 │小ネタ