2016年01月03日

新型CAT(1)

新型CAT(1)
 新年あけましておめでとうございます。2016年一発目のネタは、North American Rescue社のCAT (Combat Application Turniquet) についてです。昨年後半にGen.7 (Generation 7/第7世代) が発売されました。上の写真の上側が第6世代で陸自でも使っているタイプです。下側が今回発表された第7世代です。何が違うかと言うと、バックルの形状です。

 CATを実際に使った方はお判りかと思いますが、CATのベルトは特殊なタイプのベルクロからなります。通常のベルクロは雄面と雌面が合わさることで引っ付きますが、CATのベルトに使われているものは雄雌の区別がないタイプです。よって、どの位置でも2枚が重なると簡単に引っ付きます。逆に言えば、雄面同士や雌面同士を重ねてテープが引っ付かない様にしておくことが出来ません。これがCATの特徴でもあり欠点でした。

 下の写真は第6世代のCATを使用する際のベルトの通し方を示したものですが、3つのパターンがあります。
新型CAT(1)
 左はバックルの内側だけを使った1穴式、中央はバックルの外側だけを使った1穴式、そして右がバックルの内側と外側を使った2穴式です。NAR社は左側のやり方を「Ready Position」と推奨していますが、腕に用いる場合は左側のやり方を、脚に用いる場合は右側のやり方を正しい装着方法として発売していました。

 2穴式の利点はベルクロ自体の接合力だけでなく、バックルへの通し方による摩擦力によっても強い締め付けとトルクに耐え得る構造であることです。特に脚は腕よりも筋肉量が多いのでかなりの力で締め付ける必要がありますので、より外れにくいようにこのやり方が推奨されています。ですが欠点としては、特殊なベルクロであることから、ベルトの接触を極力避けながら締め付けなければテープ同士が直ぐに引っ付いてしまい締め付けを阻害してしまうことです。

 この欠点を補うには、両手でCATを締め付ける必要があります。しかし、脚を負傷して止血帯が必要となるような状況下では、腕が無事であるとの保障は残念ながら皆無です。よって、片腕でもCATを締め付けられることが隊員には求められますが、2穴式の通し方では片腕だけで迅速かつ効果的に締め付けることが極めて困難でした。また、バックルの穴も極めて狭いので、左側の「Ready Position」の状態から手探りで端末部を差し込んで2穴式に移行することも極めて困難であり、明りのない状況下での実現性に問題がありました。
(2)へ続く




Posted by Shadow Warriors Training at 00:00 │小ネタ