2022年02月06日

レッドドットサイトについて (3)

レッドドットサイトについて (3)
 私のように50歳近くになると射撃の際に老眼の影響が少なからず出てきます。特にアイロンサイトを用いた射撃の場合は前回説明した様に、標的→リアサイト→フロントサイトの順に焦点を変える必要が生じますが、老眼が更に進むとこの焦点距離の変化への対応が若い頃のようにいかなくなってきます。ですがMRDSを用いた射撃では標的に焦点を合わせた状態のままで照準を合わせることが出来ますので、ドットサイトは初老Warriorに優しい装備であるのは事実です。

 さて、パート2では、3つ目の優位性として脅威の認識・識別から照準までの速さを挙げましたが、実はこれはホルスタードローのやり方次第ではドットサイトでもアイロンサイトでも照準を定めるまでの時間は大きく変わりません。むしろ、ドローのやり方が悪い人にとっては、構えてもドットが見えないといった問題が生じます。

 ドットサイトは照準を助けるための単なる「付属品」です。ドットサイトを装着した拳銃を構えたからといって命中率が上がる訳でもなく、リアクションタイムが縮まる訳でもありません。ドットサイトを装備した銃でもアイロンサイトを装備した銃でも、リアクションタイムの短縮と命中率の向上に必要なことは、正しいホルスタードローです。

レッドドットサイトについて (3)
 もしいまだにこの写真のような腰に近い位置で両手で銃を保持する90年代前半までのドローのやり方で銃を抜いている場合は、照準を定めるまでのタイムラグが発生します。また、構えたところで、ドットが見えない、ドットが窓枠の中で上下に跳ねる、などといった現象を訴えることになります。このような構え方では腕が伸び切るまで銃は目線(目と標的を結んだ線)の下にあります。腕が伸び切る寸前でようやくドット(またはアイロンサイト)が目線に重なりますが、その位置で「ピタッ」と止まることはありません。

 重さのある銃を斜め方向への移動ではあるものの下から上に動かしていますので、勢いがついて一度目線よりも上に跳ね上がってから再び目線に戻るような動きになります。その際、ドットを装備していると、下から登ってきたドットが目線よりも上に飛び越してから再び目線のラインまで下がってきます。目(というよりも脳)の中でその動きは残像として残ってしまうことから、窓枠の中でドットが跳ねる様な動きをしたような「錯覚」を見ることになります。それを補正して目が正しくドットを見ることを待つ必要がありますので、結果として照準に時間がかかります。

レッドドットサイトについて (3)
 コンバット・シューティングにおけるホルスタードローでは、抜いた銃を腋の高さまで引き上げた後に銃口を前方に向け、もう一方の手を銃を握っている手と合わせることで両手で保持し、出来るだけ目線を沿わせるようにして前方に銃を突き出すように構えます。このドロー・ストロークでは腕が伸び切る前の段階でもドットやアイロンサイトを目線に重ねることが出来ます。また前方に銃を突き出すことから、勢いが付いて銃が目線より上に跳ねることがありません。よって、ドットが跳ね上がる様に見える残像も起こらず、素早く標的にドットやサイトを重ねることが出来ます。

(4)へ続く



Posted by Shadow Warriors Training at 22:47 │小ネタ