2017年08月08日

止血隊編成??

止血隊編成??
 2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたテロ対策の1つとして、消防庁が爆発物や銃による負傷者の救助に対応できる救急隊員の養成に乗り出すとの発表がありました。爆発物テロによる四肢断裂や銃傷への対処として、止血帯(ターニケット)の使用を救急隊に訓練させるとのことです。これまで頑なに止血帯の使用を拒んでいた我が国の一次救命処置からはようやく1歩進んだように思えますが、残念ながら絵に描いた餅でしかありません。

 爆発物テロや銃器テロが発生した現場に救急隊が即座に駆け付けたとしても、現場の安全が確保されるまでは警察の規制線の外側で待機が続くだけです。止血帯の使用は医療行為であっても、その運用を医療的視野からしか考えられないようでは、残念ながら欧米にのスタンダードに追いつくにはまだまだほど遠いです。警察と消防との間で協定等が結ばれ、警察官が救急隊を防護することで救急隊が規制線の内側で活動出来るようにするならまだしも、2次爆発やアクティブシューターの危険性が残っている現場に丸腰の救急隊を投入して負傷者を救護させるなど論外です。

 テロ対策?医療的側面からで戦術的側面から一切検討されていない計画のどこがテロ対策なのか?既にその様な事件を経験し対策を講じている諸外国の事例を研究しているのか、全くもって疑問です。テロ行為のパターンやトレンドを研究し理解していれば、止血帯を用いた一次救命処置の訓練は救急隊よりも警察官が受けるべきであることが明白なはずです。

止血隊編成??
 爆発や銃撃が1回の攻撃で終わる保証はありません。連続攻撃が危惧される状況で救急隊を送り込むなど無責任な話しです。そして安全が確保されるまで規制線の外で待っていれば、規制解除された段階で止血帯の適用が必要であった負傷者は既に失血死しています。よって、自衛のための小型武器の携帯を許可され規制線の内側で行動出来る警察官こそが、テロ事件の現場における止血帯の運用訓練を受けるにより相応しいのです。消防庁が首都圏の消防機関に止血帯の訓練を施すとのことですが、同時に警察庁も重い腰を上げて欲しいものです。

 また、警察官の数に余裕があれば、救急隊が待機する規制線の外側まで負傷者を搬送することも期待出来ますが、必ずしもそうはいきません。そうなれば一般人である現場の生存者にも一次救命処置の手助けを期待せざるを得ません。よって、テロ対策を本気で考えているのであれば、赤十字などが施す一般人向けの救急法にも止血帯の使用を課目として加えることを望みます。



Posted by Shadow Warriors Training at 21:48 │小ネタ