2017年04月03日

OPSECの弊害?(1)

OPSECの弊害?(1)
 近年、過去の訓練で知り合ったり、新しい訓練で知り合ったヨーロッパの軍人や警察官と交流したり訓練する機会が増えてきました。彼らと技術や戦術の交換をするのですが、そこにはお互いに何か新しい考え方や技術を知りたいといった好奇心や向上心があるのですが、彼らと話をするとどこの国の組織も同じ問題を抱えていることがよく分かります。

 その問題とはOPSEC(作戦保全)です。勿論、敵国や敵性勢力にこちらの戦術などの手の内を見せることはこちらの戦略的・戦術的優位性を損なうことに繋がりますので、情報の保全は必要です。しかしながらこの作戦保全そのものが足かせとなって、彼らも国内の他部隊や同盟国のカウンターパートとの合同訓練が出来ずに悩んでいることを知らされました。欧州軍やNATOと言った、日米同盟とは異なり多国籍な関係を有するヨーロッパでは頻繁に交流がなされているものと思っていましたが、それはあくまでも一部の部隊(SAS、GSG9、GIGNなど)に限っての話の様です。

 ドイツ国内にNATOの特殊部隊訓練校があり(因みにMIO/VBSS専用の訓練所はギリシャにあります)、そこでは他国の隊員と共に訓練を受けます。しかし、原隊に戻ってからは「公式」な形で交流を続けることが色々な制約があるそうです。その最も大きな制約が作戦保全であり、上官にカウンターパートとの合同訓練を進言しても、「作戦保全」を理由に却下されることが少なくないとのことです。

 ですが、本当に知られたくない事があればそこだけ開示しなければ良いだけで、実際には部隊の訓練の練度を見られたくないと言った理由が疑われています。合同訓練をすると勿論相手の良いところだけでなく悪いところも見える訳ですが、それを恥ずかしがって上層部が許可しないのでは?と言うのが彼らが口を揃えて述べています。
(2)に続く



Posted by Shadow Warriors Training at 00:24 │小ネタ