2017年01月23日

隊容検査、コントラクター流

隊容検査、コントラクター流
 隊容検査と聞けば自衛官の方々は服装から装具から武器から装備までありとあらゆる細かい箇所をチェックされ、作戦についての細かい質問を受けたりと、非常に面倒くさいものであるとのイメージが定着しているのでは?と思います。自衛隊ではまだまだ官品絶対主義が強い風潮ですので、これまでのやり方が続くと思います。しかしながら一部の部隊では、私物の使用が認められている場合があります。その場合はこれまでの隊容検査とは異なる着眼を持って実施する必要があると思いますので、役に立てればとの思いを込めてコントラクター流の隊容検査を紹介させて頂きます。

 点検する内容は米軍や自衛隊のそれと変わりありません。やり方の違いとしては、隊長が自分1人でやるとは限らず、副隊長や分隊長に権限と責任を委譲して全て或は限定的な範囲内で隊容検査を実施させることがあります。ただ、決定的な軍隊との相違点としては使用する装備品が一律でなく個人ごとに異なることと、最悪のケースを予め想定して隊容検査を実施することにあります。

 コントラクターは使用する銃器も違えば装備も違います。装備が違えば弾納や医療キットの取り付け位置もそれぞれ異なります。その様な部隊で負傷者が発生した場合、医療キットがどれか分からないなどの理由で戦闘外傷ケアが遅れることがあっては無駄に死者を出すことに繋がります。そこでコントラクターチームの隊容検査では、各自の銃の負い紐の着脱要領、アーマーの着脱要領、医療キットの位置、止血帯の位置を各自が順番に全員に展示説明します。また、予備弾薬やバッテリーなどそれぞれが分担して携行する装備なども互いに場所を示し説明することで、各隊員の戦闘準備が整っているのかを確認するだけでなく、作戦中の負傷などといった最悪のケースでも時間を無駄にせずケアを施したり、必要な装備を取り出したり出来るように準備します。

 そもそも隊容検査はパスしてなんぼの話しではなく、その先の作戦中のことを重視しているべきです。使い勝手の良い私物装備の許可は確かに隊員のモチベーションを挙げる手段としても使えますが、それによって生じるであろう不具合を予見して対策を取らなくては、私物が隊員の命の足かせになりかねません。逆に言えば、それらの措置が十分に講じられていれば、使用できる私物の範囲はもっと拡大されても良いのではないかと思います。



Posted by Shadow Warriors Training at 00:16 │小ネタ