2016年10月24日

拳銃弾:9mm対45口径

拳銃弾:9mm対45口径
 今回は拳銃弾について解説します。9mmユーザーと45口径ユーザーのバトルは海の向こう側では延々と続いていますが、最近のトレンドとしてはFBIもUSSOCOMも45ACPから9mmに移行しています。9mmの有する利点としては勿論装弾数の多さですが、それ以上に「撃ち易さ」があります。

 45口径信者の多くは「ストッピング・パワー」を理由に9mmより優れていることを声高らかに謳いますが、実際の銃撃戦には「ストッピング・パワー」など存在しません。仮に被弾した敵が倒れたり吹っ飛んだりするとすれば、物理の作用・反作用の法則に基づけば撃った方も弾の射出方向と逆側に吹き飛ばされているはずです。人と人とが撃ち合う際に最も早く相手を倒すには、口径や初速ではなく、「当てるべき箇所に当てる」ことが要求されます。しかしながら、射場で紙標的にヘッドショットを喰らわすのとは違い、生きた人間を相手にヘッドショットを命中させるのは難しい話です。

 現実世界の銃撃戦では、障害物や第3者を間に挟んだ状態で、時として十分な明りもない状況下で、やるかやられるかの極度の緊張状態の中で撃たれないために素早く動きながら、同じく撃たれまいと素早く動く相手の身体の極めて限られた一部分に命中させる技術が要求されます。つまり、1発でヘッドショットを命中させるのはほぼ不可能となります。そこで、ヘッドショットを成功させて敵を倒すか、失血させるなどして敵の戦闘能力を奪うまで複数回射撃する必要が生じますが、9mmは反動の小ささから照準にも銃を握る手にも負担が少ないことが好まれる理由です。45口径を一日で数百発撃ってみて下さい。どれだけ手が疲れるか分かります。反面9mmはリコイルを吸収し易いので、手もそれほど疲れませんし、何よりリコイルが小さいことから次弾発射の為の照準が早く付けられます。

 しかしながら何れの口径でも移動しながら移動する敵にヘッドショットを命中させるのは難しいです。そこで心臓や大きな血管に損傷を与えて失血という形で徐々に敵の戦闘能力を奪うことが第2案として挙がりますが、それに必要なのは貫通力となります。仮に敵の身体の横に命中させて腕を通って弾を心臓に至らせるには、体格の良い相手を考慮した場合は、約30cmの貫通力が必要となります。上の画像を見れば何れの口径も12インチ(30cm)以上の貫通力を人間の軟組織と同じ弾力と強度で作られたゼラチン相手に有していますが、口径と装薬量との組み合わせで最低でも12インチ以上の貫通力がスペックとして求められているのはこの理由からです。

 ただ、ヘッドショットと同じで1発で命中させることは難しいので、必然的に複数の弾を撃つ必要が生じます。また、銃撃戦は必ずしも1対1で起こるとは限りません。複数の敵に対して複数の弾を撃つと考えれば、必然的に装弾数の多い方が頻繁に弾倉を交換する必要がないので戦闘間では有利であるのが理解できると思います。この様に、装弾数と撃ち易さの観点から、現在では45口径よりも9mmが多くの軍隊や警察部隊にて支持されています。



Posted by Shadow Warriors Training at 00:12 │小ネタ