2016年08月22日

スナイパー日和

スナイパー日和
 本日は首都圏を台風が直撃、上陸しました。それに伴い長時間、暴風雨に晒されましたが、実は悪天候こそスナイパー日和になります。

 スナイパーと言えば遠距離から一撃で敵を無力化するイメージが強いですが、遠距離から狙った獲物を1発で確実に仕留めるためには風の影響をほぼ受けないことが絶対条件になります。1発で仕留めることが出来ないとどうなるか?1発目を外せばスナイパーの存在が露呈し、2発目を外せば大体の位置の見当がつけられ、3発目を外した頃にはかなりの精度で迫砲の攻撃に晒せれることになります。

 風の影響を最小限にし、より高い精度の命中精度を実現するための最も簡単な方法は標的に近付くことですが、普通に近づいては発見される危険性が高くなります。巷で人気のギリースーツを用いる戦術もありますが、状況によっては時速数10センチ程度の速度でしか移動出来ませんし、植生が濃くない地域や市街地などではギリースーツは役に立ちません。また、射撃した後には離脱といった行動が不可避となりますが、風も殆どなく見通しの良く効く天候では敵の反応速度や追撃速度も高いので、標的の無力化といった任務を達成したところで生還する可能性は低くなります。

 そこで、標的への接近を敵に発見され難くしつつも、敵の反応速度や追撃速度を低下させるために、スナイパーはあえて荒天時に作戦を実行します。加えて、基地や宿営地では敵の攻撃に備えて一部の戦力を警備・監視任務に就けますが、悪天候は警備・監視任務に赴く者の士気を低下させ易く、また敵の接近や攻撃の兆候を掴みづらくさせます。反面、訓練されたスナイパーの精神力、特に集中力は一般兵のそれらと比べ物にならないほど高く、その様な悪条件を味方につけて敵の弱点を突くことに長けています。

 一番の問題となる射撃音は雨風の影響を受けることで敵の耳に届き難くなります。また、警戒する側はレインギアのフードを被るなどして頭部を雨風から守りますが、このフードを被ることによって視界が狭まるだけでなく銃声も聞こえづらくなります。ナイロンなどでできたフードに雨が当たる音がフードの中で反響することで、周囲の音を拾い難くなるからです。フードを被らないとしてもヘルメットを被っていると同様に打ち付ける雨音がヘルメット内で反響することで、着用者の集中力が少しずつ削がれて行きます。

 私が過去に受けたスナイパー訓練でも、降雨時の方が監視役から見つかる率は極端に低かったです。こちらはじっと我慢して狙いを定めていますが、監視役は付着した雨粒により視界が悪くなることを防ぐために頻繁に双眼鏡の対物レンズを拭きます。チャンスはそこです。監視役が視線を下げた瞬間に標的を無力化させると、大よそ射撃音がしたと思われる方向に双眼鏡を向けてスナイパーの存在を探し出した頃には、スナイパーは既にその場を離れて離脱行動に入っています。



Posted by Shadow Warriors Training at 21:40 │小ネタ