2016年07月04日

バックアップはどの程度必要?

バックアップはどの程度必要?
 小銃を装備する際には、交戦中の万が一の弾切れや故障を想定して、拳銃をバックアップとして装備するのが一般的です。ですが、プライマリー(メイン)ウェポンである小銃に問題が発生したからと言って、実は必ずしもセカンダリー(サブ、またはバックアップ)ウェポンである拳銃に移行(トランジッション)する必要性があるかと言えば、そうではありません。戦況や戦術・技術を理解していないと、バカの一つ覚えのように拳銃にトランジッションしたところで何ら好ましい結果を得ることは残念ながら出来ません。

 では、小銃も拳銃も故障あるいは弾切れとなったら、何がバックアップとして使えるのでしょうか?最も手近な存在が、部隊の仲間です。弾倉を貰ったり、援護射撃を依頼したりと、仲間の存在は大きいです。次に考えられるのがナイフや警棒などの近接戦闘用武器ですが、これらを用いると必ず敵と格闘戦に陥りますので、格闘戦に勝つための技術だけでなく覚悟が必要となります。なんせ相手はまだ弾の入った銃を持っていますので、相手の銃口を首尾よくかわしたところで相手に格闘戦の素養があれば再び相手の銃口の脅威にさらされることになります。

 そこで良く言われるのが、やられた仲間の銃を使うか、倒した敵の銃を奪うといった選択肢です。ですが、何れの場合でも闇雲に拾った銃で戦闘を継続するのは危険で、その前に必ずしておくことがあります。それは槓桿を引いて薬室に確実に弾を装填することです。そうすることで、拾った銃が動作するか否かの点検が出来るだけでなく、敵と対峙した際に確実に弾を発射させるための準備を整えることが出来ます。

 ただし、敵の銃を使用する場合は、法的な制限や部隊の作戦規定に抵触する可能性があります。ですが己の生存を掛けた状況下で、決められたルールを厳格に守って死ぬか、ルールを破って生き残ってから問題視されるかは、皆さんのご判断に任せます。(SWTのトレーニングは全て後者を想定していますが。)そして敵の武器を使用する上でのもう一つの問題点は、敵の武器の取り扱い要領を熟知しているか否かです。装填方法は?故障排除要領は?機能点検に必要な最低限の分解と結合要領は?着弾の修正要領は?これらを知っていない場合は、敵の銃を使用するプランはバックアップとしては残念ながら現実的ではありません。

 己が投入される局面で何が起こり得るかを想定し、不測の事態に備えてバックアップを準備する。言葉で言えばたったこれだけの簡単なことですが、そのバックアップが機能するか否かを深く追及しない限り、その案は机上の空論や絵に描いた餅で終わることになります。最も交戦する可能性の高い敵が誰であるのかを見出して、連中の使用する武器を研究する努力を惜しまないことが、最後の最後のバックアップが機能するか否かに繋がります。



Posted by Shadow Warriors Training at 23:12 │小ネタ