2016年03月06日

インストラクション・ガイドライン(1)

インストラクション・ガイドライン(1)
 人が新しい技術を学ぶ際には、適切なインストラクションが不可欠です。市場にはマニュアルやDVDといった媒体が溢れていますが、これらは(仮に内容が正しいものとして)知識やその背景を学ぶための教材には成り得ても、インストラクターの代わりには成り得ません。その理由は、インストラクターの仕事とは新しい技術や知識を教えることだけでなく、その場で誤りを指摘・修正したり、ヒント等を与えながら考え方や視野を広げるため手助けをすることにあるからです。特にこの世界では、その場で修正されない場合、間違ったまま身に付けてしまったことが最悪の場合死に繋がりますので、その場における「指摘・修正」は非常に重要です。当ブログをお読みの方々の中には、部隊での訓練を担当したり、これから訓練を提供する側に進みたいとお考えの方が少なからずおられる様ですので、インストラクションを行う上でのガイドラインを極一部ではありますが紹介したいと思います。

・訓練生が射撃する際は、標的ではなく訓練生を見ること。弾痕は上手かろうが下手であろうが標的に残ります。着弾箇所から射手が犯したであろう大凡の問題点は想像出来ますが、より正確に問題点を見つけて指摘するには弾痕の位置でなく射撃中の射手の挙動に注目すべきです。

・1度悪い点を見ただけで修正を試みないこと。その悪い点が癖となってしまっていることが明確となった時点で修正することが望ましいです。癖となってしまっていることを指摘しないと、たまたま1度ミスを犯した際に指摘された訓練生は耳だけでなく心も閉ざしてしまいます。

・複数の間違いを修正する場合は、より重要な点から1つずつ直すこと。訓練生が上達を実感出来るだけでなく、訓練時間が限られてる場合は命に係わる重要な部分をより重視すべきです。

・指摘や修正する場合は、1つずつ行うこと。直される側の混乱を避けることは、直される側の理解度を高めることに繋がります。集中力を切らさせないためにも、一度に複数の点を指摘することは避けるべきです。

・全体の流れを止めないこと。訓練生全員が直ぐに修正できるとは限りません。1人に多くの時間を費やして多くを置き去りにするのは避けるべきです。仮にその場で完璧に修正させることが不可能であったとしても、何が間違っているのかを本人に理解させることさえ出来れば、あとは本人で直すことが出来ます。答えやゴールに連れて行くことだけに固執せず、そこに辿り着くためのヒントや手助けをする方が、訓練生の今後の練習の為にもなります。

(2)へ続く



Posted by Shadow Warriors Training at 23:35 │トレーニング哲学