2015年08月30日

ベルクロ式マガジンポーチが嫌い?

ベルクロ式マガジンポーチが嫌い?
 近年の装備品はMOLLE/PALSテープ式のプラットフォームにベルクロ(マジックテープ)式のポーチが主流ですが、アメリカにはベルクロ式のポーチが嫌いな人がいます。彼らの中にはファステックス等のバックル式やスナップボタン式などのタイプが純粋に好みである人もいます。これまで使ってきた愛着のある装備がそういった開閉方法であったために、新しいタイプに馴染みにくいのが理由でしょう。しかしながら、時代の流れに逆らうことは出来ませんので、いつかはトレンドに追いついて行く必要が生じると思います。

 上記の様な人にとっては好き嫌いの理由は単なる個人の使用感ですが、中には非現実的な戦術的理由を挙げてベルクロ式マガジンポーチが嫌いだと主張する人々もいます。彼らは、ベルクロのたてる大きな音が伏撃(アンブッシュ)など敵との距離が近い際に自軍の存在や位置を明かしてしまう可能性がある、と主張しているようです。しかし、本当にそうなのでしょうか?

 確かに不用意に光を出さないだけでなく、音もたてないのが隠密行動の鉄則です。そしてご存知の様にベルクロは開ける際に大きな「ベリベリ」といった音をたてます。ですが常識的に考えて、弾倉をポーチから取り出すのは銃に着いている弾倉を新しいものと交換する必要があるからであり、弾倉を交換するという事は既に銃に装填された弾倉の中身を撃ち尽くしたからです。と言うことは、弾倉交換のためにベルクロを開ける際の音よりもはるかに大きな音をその前にたてているということになります。

 エアガンは発射時に殆ど音を発しませんので、発射音よりもベルクロが剥がれる音の方が大きいです。つまり、上記の非戦術的な理由はアメリカのエアソフト愛好家が発祥となったものです。アメリカ人だから全員銃を撃ったことがあるとは限りません。日本人全員が空手や茶道を出来ないのと同じです。実銃の世界を知らない人々による「理論」がいつしか脚色され尾ひれがついて、ネット上のフォーラムなどで市民権を得た結果です。前に述べたInternet CommandoやKeyboard Rangerの仕業と言っても過言ではないでしょう。

 メーカーは自分たちのアイデアだけで商品を作りません。購入者はそれらの商品に命を預けますので、企画の段階からその道の現場の人間からアドバイスを貰います。勿論アドバイスをする人間は特殊部隊経験者などです。自称コマンドーやレンジャーが勝てる相手ではありません。



Posted by Shadow Warriors Training at 21:21 │小ネタ