2015年08月23日

女性兵士が米陸軍レンジャー訓練を修了した件について

女性兵士が米陸軍レンジャー訓練を修了した件について
 先日米軍史上初の出来事として、女性兵士2名(中尉と大尉)が62日間に及ぶレンジャー訓練を修了したとのニュースが米陸軍や国防総省から発表されました。このニュースを聞いて米国でも、「女性だから特別扱いを受けた」や「レンジャー訓練のレベルが下がった」などのネガティブな意見が出ているようです。恐らく彼らの多くは、軍務に就いたことはおろか、社会で働いたこともないニート連中であろうと思います。因みにアメリカではネットの情報だけで仕入れた知識を基に、軍事の専門家や特殊部隊経験者を名乗るアホな連中のことを、Keyboard Ranger(キーボード・レンジャー)やInternet Commando(インターネット・コマンドー)と揶揄します。

 しかしながら、2010年度~2014年度の平均合格率がおよそ42%であったのに対し、この2名の女性兵士が参加していた2015年の6月、7月及び8月に開催されたレンジャー訓練の合格率がおよそ30%であった事実は決して訓練のレベルが下がっているとは言えない証拠の1つであると思います。また歴史的には平均50%の合格率であったことから、イラク・アフガン戦争以降は訓練のスタンダードが上げられて落伍率が上がったことが分かります。

 彼女らに対する批判がある中、レンジャー訓練大隊(Ranger Training Battalion)のJim Hathaway少佐は次の様に語っています。
「レンジャー学校がどの様な発表をしても、信用しない者は信用し続けないでしょう。彼らをコースに招いたり映像に残したりして彼女たちが訓練を受けている姿を見せたところで、考えは変わらないでしょう。我々が何と言おうが彼らの意見を変えることは出来ないでしょう。しかしながら、私とスタッフはコースを通じて兵士、下士官、将校が実行したことを誇りに思います。彼れらは任務を遂行し、レンジャーの基準を満たすパフォーマンスを発揮したのですから。」

 因みにレンジャー訓練には3段階あって、第1段階の第1日目~3日目の間にはRanger Assessment Phase(レンジャー適正評価)が実施されます。その内容は、
     1)基礎体力テスト
         腕立て49回(2分以内)、腹筋59回(2分以内)、懸垂6回
     2)5マイル(約8km)走(40分以内)
     3)Combat Water Survival Assessment
         水と高所への恐怖心を克服するためのテスト、ロープブリッジから飛び込んだりするやつです
         フル装備で飛び込んで、水中で装備を外したりするテストも含まれます
     4)地図判読とナビゲーション(日中及び夜間)
     5)3マイル(約4.8km)走と障害走
     6)爆破及び空挺訓練
     7)12マイル(約19km)行軍
         フル装備に加えて背嚢を担いだ状態、制限時間は3時間

 62日間の地獄の最初に彼女達もこれをクリアしています。文句がある人が居れば、とりあえず上記をクリアしてみては?



Posted by Shadow Warriors Training at 20:56 │小ネタ