2015年08月15日

ホルスタードローについて(2)

ホルスタードローについて(2)
 隠匿タイプのヒップホルスターを使うのなら、ベルトとパンツ(私らの世代で言うとこのズボン)の内側に入れるIWB(Inside Waist Band)タイプがお勧めです。このタイプのホルスターを用いれば、上着がポロシャツやTシャツだけの場合でも隠匿出来ます。ただし、格闘の際に腰から落ちた場合は相当痛い思いをします。以前アメリカのとあるスクールで装備を付けた状態での格闘訓練を受けたことがありますが、IWBホルスターを着けた側の腰に大きなアザをつけて帰国した思い出があります。身体を捩った際にちょうどスライドの後端が一番下の肋骨にも当たりますので、位置決めにも注意を要します。反面、アメリカ人は腰回りの脂肪が分厚いためか、自分ほど痛がっていませんでした。

 ただしこの隠匿方法は、シャツの丈が短いと屈んだ際に銃が露出することがあります。

ホルスタードローについて(2)
 腰から落ちる可能性が高いのであれば、IWBホルスターを身体の前に持って行ったアペンディックス・キャリー(Appendix Carry)という隠匿方法が勧められます。アペンディックスとは英語で盲腸のことを意味し、大体位置的にホルスターが盲腸付近にくることからこの名がついています。この方法ですと屈んでも銃が露出することはありませんが、運転など長時間座った姿勢でいる必要がある場合は下腹部が圧迫され続けることから好ましい方法とはなりません。

 何れの隠匿方法も一長一短です。隠匿するには第1に隠し易さが重要ですが、取り出し易さを犠牲にする訳にはいきません。背広の上着の様に前が空いている上着もあれば、パーカーの様に前が閉じているものもあります。よって、ホルスターのタイプに応じた取り出し要領を訓練するだけでなく、着用する服のタイプに応じた取り出し要領を知っておく必要があります。また、片腕が負傷した状態や相手と組み合った状態での取り出し要領も幾度となく訓練して身体に染み付かせる必要があります。

 ホルスターは単に銃を納めるだけの入れ物ではありません。必要な時に素早く銃を取り出せないのであれば、携帯している意味がありません。自分のミッションと服装に応じた隠匿要領を見出して、あらゆる状況を想定した取り出し要領を反復演練することで、初めてそのホルスターが単なる入れ物から戦術的な意味を持つ道具へと進化します。予備弾倉の携行要領も同じです。命を預ける道具は、格好だけでは選べません。その道具を生かすも殺すも自分次第ですが、その道具に生かされるか殺されるかもまた自分次第です。



Posted by Shadow Warriors Training at 23:00 │小ネタ