2015年07月26日

教え方と記憶力の関係

教え方と記憶力の関係
 久しぶりに技術や戦術とは異なる、インストラクターらしいことを書こうと思います。

 「鉄は熱いうちに打て」とはよく言ったもので、時間が経過してから良かった点・悪かった点を言われても「ピン」と来ません。特に悪かった点を時間が経ってから言われた場合は、そんな行動の記憶も消えかかっているので「今更何を言うねん!」と心を閉ざしてしまう原因を作ってしまいます。この辺りについては過去のブログでも書いたと思いますが、今回はもう少し突っ込んだことを紹介します。

 物事を教えるには色々な方法がありますが、言ったり見せたりするだけの場合と実際にやってみせる場合とでは、記憶の保持の度合いが異なります。教育心理学の分野での研究結果がそれをデータとして証明しており、SWTではそれを参考にして教える内容によって教え方を変えています。具体的にどの様なデータかと言うと、大人が何かを学んだ3日後にどの程度学んだ内容を覚えているか?を異なる学び方ごとに数値化したものです。

 その研究によれば、学習の3日後に内容を覚えている割合は、
     読んだ10%だけ、
     聞いた20%だけ、
     見た30%だけ、
     見て聞いた50%だけ、
     言った70%、
     言って行った90%
となっています。

 という事で、単純な内容は言ったり見せてみるだけで良いですが、複雑な内容や技法にあっては実際に言われたり見せられたことをかみ砕いて理解させながらステップごとに実践させないと、脳にも身体にも深く長く定着させることが出来ません。更に言えば、実際にやってみせた際に、問題点があった場合にいち早くその問題点を指摘して訂正させる能力がインストラクターには要求されます。先の「鉄は熱いうちに打て」です。その場で悪い癖や間違いを直さないと、トレーニング後も「我流」のやり方として残ってしまいます。それが些細なことであれば良いのですが、銃撃戦で命を危険に晒すことに繋がるようであれば・・・

 インストラクターは知っていることを伝えるだけの身勝手な存在ではなく、訓練生の命を預かっている責任感がなければ勤まりません。



Posted by Shadow Warriors Training at 21:29 │トレーニング哲学